2023年12月 のんなだより🍛

年の瀬ですのに、「あー暑かった!!」と、汗ばんだ顔をして散歩先から子ども達が帰って来ます。例年、神田川沿いに落ちる桜の葉を拾い、黄色から真紅まで並べて、その美しさを子ども達と楽しみますが、今年はまだ一枚すべて赤く色づいた葉が見つかりません。れもんさん(2才児)に「散歩に行ったとき、探してきてね」と頼むと、「黄色はあるけど、赤だけはないんだよねー」と、大人びた口調で応えていました。桜の木にはまだたくさん葉がついているので、これから一日の寒暖差が大きくなるにつれ、赤く染まった葉に会えるのを心待ちにしています。

先月は土曜日に保護者会を行いました。自己紹介で、素敵な趣味をお持ちの方が多く、お話を伺っていて楽しかったです。また、お父様のお仕事の都合で育児はお母様のワンオペだとおっしゃる方が多く、驚くとともに、どんなにかご苦労なさっているのだろうと思いました。

園でのお子様の様子や傾向にお答えする中の一つで、トイレトレーニングについて、なかなか進まないとのこと。のんなでは、この月齢は遊び、好きな課題に没頭することの方が大切だと考えておりますので、“トレーニング”と捉えておりません。遊びを邪魔しないように誘うと、「うん」とトイレに向かうこともありますが、「やだ!」と断られることもあります。おむつ交換の際、「便座に座ってみようか?」と声掛けすると、タイミングがよければ成功することもあり、しぼり出してくれる子もいて、そんなときニヤッと笑って、自分でも“やったー”と誇らしげです。ほとんどの子はトイレで用を足すことの方がよいのは分かっているので、無理強いしないようにしています。一人ひとりのタイミングと気持ちを大切にし、失敗しても決して自信を失うことのないように進めたいものです。ちなみに1才児さんの中にも便器に座りたがり、「うーん」といきむ子もいます。トイレに座ることが嫌いにならないようにしています。

そのほか、今月はこんなことがありました。

・1才8か月の女児は、今なんでも「自分で、自分で…」と意欲的です。自分のことのみならず、散歩に出かける前には、帽子を一人ひとりに渡して(各人の帽子のリボンのカラーを覚えています)リーダーシップを発揮しています。また、スタッフが新しいシャツを着ていると、「これかわいい!」とほめてくれる、おしゃまさんです。

・れもんさん(2才児)が、井形ブロックで長くて立派な電車を組み立てていて、それをみかんさん(1才児)が羨ましそうに触ろうとすると、素早く短い電車を作って手渡し、みかんさんを喜ばせていました。もちろん自分の大作を取られないためもありますが、日々学んでいるようです。

・子ども達は絵本の他に、脳育という冊子の「まちがいさがし」「えあわせ」が大好きです。3、4才向けで難しいのですが、みかんさん(1才児)がじっくり見ていると、れもんさん(2才児)がやって来て、「この絵とこの絵が同じでしょ!これとこれは違うでしょ!」と指で指しながら教え始めました。みかんさんが真剣な顔でうなずくと、れもんさんが頭をなでて、「わかった?おりこうさん!」と言ってその場を去っていきました。

保護者会では、最後に子ども達の人気No.1のトマト入りカレーライス、中華きゅうり、さつま芋とりんごの重煮のデザートを試食していただき、情報交換をして楽しい時間を過ごしました。ご出席してくださった方々、ありがとうございました。個人面接を希望される方は、お申し出くださいませ。

園長 原田京子

2023年11月 のんなだより🍂

やっと朝夕が涼しくなりました。先月も暑い日ばかりで、室内で遊んでいても汗びっしょりになる子もいるほどでしたので、クーラーをつけない日は一日もありませんでした。散歩に出ても日差しが強いので、長時間戸外で遊ぶことを控えました。空気が乾燥していたので、子ども達は真夏よりも麦茶をおいしそうにたくさん飲みました。そしてれもん(2才児)さんを真似て、きんかん(0才児)ちゃん達まで飲み終えると「ハアー!!」とやるので、とてもかわいいのです。今月こそ、澄んだ空気の中、秋の自然を楽しみながらたっぷり戸外遊びが楽しめますように。

毎年のことですが、れもんさん達は、来年度から通う保育園・幼稚園の申し込みが始まっているようです。夏ごろから、どこの園に通わせようか見学していらっしゃいます。園の保育に対する考え方、園内外の環境、給食がある、スタッフの雰囲気、英語や音楽、絵画など習い事に力を入れている等々の条件に焦点を当てて探していらっしゃいました。そして「英語に特化した園も考えましたが、家の近くの雰囲気のよいところが我が子に合っていると思い、決めました」、また「広い広い園庭と園舎、園の考え方が我が子に合っていると思って決めました」等、素敵な報告をいただきました。

私はかつて3才児を担当していたとき、2才児からインターナショナルスクールのプレに通っていたという子を受け持ったのですが、その子は英語を聞いたり外国人が近づくと大泣きしてパニック状態になるので、落ち着くまで抱きしめていた経験があります。また英語や音楽に特化した園が大好きになり、通園を楽しんでいる子も知っています。ですから一人ひとりお子様の性格を大切にして、“やってみたい!”と興味を示す時期を待っていただけると嬉しいです。幼児期には特定の学びより、いろいろなことに興味関心を示し、挑戦できる環境の中で、伸びやかな心と体力を育んでくれる。居心地のよい園にめぐり会ってほしいです。

園長 原田京子

2023年10月 のんなだより🌰

10月になりましたのに暑い夏がまだ続いています。私が保育の世界に入って長い年月がたちますが、今年のように9月いっぱいプールを楽しめた年はありませんでした。いつもですと9月のはじめの1、2回で、プールを出たときに「寒い!」と子どもが言うのですが、今年は「もう出ましょうか?」と聞くと「もっと入ってる~!」と水から離れず、泣いてしまう子さえいるほどでした。

スタッフの傍らでかぐわしい臭いをただよわせる子に「うんちが出た人~?」と聞くと、「ハーイ」と手をあげ笑顔が返ってきます。「うんちが出たの?良かったね」と言ってトイレへ。トイレの中は2人だけ。「元気なうんちだよ、よかったよかった」と言うと、「うんちが出てよかったの?」と2才児が質問します。「そうよ。うんちはね、ごはんがお腹に入って皆が元気になるように栄養が体中に入っていって、その残りが体の中の水分を吸って、お尻からうんちになって出てくるのよ」(食物の栄養は小腸で吸収され、残りは大腸に届き、そこで水分を吸収して大便となります。大便が直腸にたまると、直腸壁が伸展してそのサインが脳に送られて便意となり、排便が起こります)「体の中からいらないうんちが出てこないと、お腹が痛くなって苦しくなるの。だからうんちが出てよかったのよ」と言うと、「そうなの~」と納得。「だから『うんちが出たよ!』ってすぐに教えてね」「わかった!」「うんちがお尻についていると赤くなってかゆかったり痛くなるでしょ。出る前にわかったら、この便器に座ってできるようになるといいね」「うん」という会話をします。

朝うんちが出たら「一日のはじめに出てすっきりしたね」、昼ごはんの後に出ると「すっきりしてお昼寝できるね」、夕方に出ると「すっきりしておうちに帰れるね」と、いつでも「出てよかった!」なのです。大便が出ることは元気な証拠です。決して後ろめたさを感じさせてはならないと思っています。みかん(1才児)さんも、大便をしたあとにお尻をポンポンと叩いて教えてくれる子もいて、「うんち出たのね、教えてくれてありがとう」と言うと、得意顔でトイレに向かいます。もちろん、便意より遊びに集中する子もいますので、スタッフがその臭いに気づき、おむつ交換を促す場合が多いのですが、そんなときもうんちが出たことを素敵なことと捉えながらも遊びを優先し、納得してもらってからトイレに向かいます。

かつて、1才児で便秘に苦しんだ子がいました。便意をもよおした時は、お腹をマッサージしたり一緒にいきんだり、長い苦しみのあとに出たときには、スタッフ一同で大喜びをしたものです。本児には水分をたくさん与えたり繊維質のものをすすめたりしましたが、お医者さんに伺うと、便秘は遺伝的要素も多いそうです。週に2回以下で、排便時に苦痛を伴い、便塊が出る場合は治療が必要だそうです。乳児・幼児それぞれに向けて今はよい薬ができているとのことです。

園長 原田京子

2023年9月 のんなだより⛱

酷暑でしたね。いやこの暑さ、いつまで続くのでしょうか。朝夕の涼風が恋しいです。子ども達は登園したとたんに走ったりボールを蹴ったりして元気に汗をかき、毎日15~30分ほどの水あそび(プール)を楽しみ、昼食は全員が完食して、食後は自然に眠くなり、1時間~2時間半ほどしっかり眠って、おやつを食べたあと、元気に遊びに取り組みます。水分補給と生活リズムがきちんとできていたことで、猛暑の中でも病欠児が少なかったのだと思います。9月は暑さの疲れが出やすいので、休養と活動のバランスに配慮して過ごしたいと思います。

れもん(2才児)さん達はみな自分の考えをしっかり持っていて個性的です。友達の誕生日パーティーのためにままごと道具を駆使してごちそうをテーブルいっぱいに作ってくれるコックさんがいたり、積み木で大がかりな公園や乗り物を作るアイデアマンがいたり、人形(さくらちゃん)のお世話をまるでお母さんのように上手にするママがいたりして、毎日楽しいことが展開されるので、スタッフもみかん(1才児)さんも目をみはるばかりです。もちろん2才児ですので、自分が作ったものは他の子に触れさせたくないし、素敵な物を作った子と一緒にやりたい子の攻防は常につきものですが、そこで戦いながらいろいろなことを学んでいます。スタッフは前者を保障しながら後者にも同じような環境を提案するようにしていますが、なかなか納得してもらえません。前者は友達を拒否しながらも、しばらくすると「いいよ」と言って受け入れてくれることもあります。2才児ながら葛藤があるのでしょうね。これらは成長するために必要なことですので、丁寧に対応したいと思います。

れもんさんが、高いところに引っかかったお手玉を「自分で取りたい!」と、マットを重ねたり建てたり工夫していました。結局、一つのマットを壁に立て、もう一つのマットを斜めに立てかけて、それをスタッフに支えてもらい、よじ登って見事にお手玉を手にしました。そしてドヤ顔に。その様子を見ていた1才5ヶ月児が真似をしてよじ登りはじめ、もう少しで届くところまで行き、スタッフにサポートされて到達! その時のその子のドヤ顔は、今までに見たこともないくらい自信に満ちたものでした。すると、なんと1才半、1才9ヶ月の子が二人後ろに並んで、自分もやる!と待っていたのです。“あこがれのお兄さんがやったことを自分もやりたい!”と、そしてそれに近づけるとみな同じような顔をして満足そうでした。こうして少しずつ自信をつけ、自己肯定感を強くしてほしいと思います。

のんなでは、子どもの“やりたい!”の気持ちを引き出し、可能な限りその気持ちを大切にし、応えるようにしています。日々のこれらの経験は、子ども達の生命を輝かせ、人生を充実させ、自尊心、自己抑制力、忍耐力を身につけるものと信じています。

園長 原田京子

2023年8月 のんなだより🐣

セミの鳴き声のする桜の木の下に一円玉大の穴が数か所空いていて、その近くのシダの葉の裏にセミの抜け殻がついていました。れもん(2才児)さんが抜け殻を見つけ、大切に手のひらに置いて愛でているところに、みかん(1才児)さんが来てそれを取って崩してしまいました。れもんさんはみかんさんを怒るのではなく、慌てた様子でまた組み立てようとしていましたが、その真剣な表情が愛おしかったです。セミの短い一生を思うと、抜け殻も大切にしたいと私も思います。その後セミの鳴き声を聞くと、なぜか爽やかな気持ちになるのです。

熱い熱い日が続き、毎日短時間ですがプールで水遊びをしています。初めは水をかけられたりプールに入るのを嫌がっていた子も、プールの外で遊んでいるうちにプールの中に入って楽しむようになってきています。ミストシャワーを浴びたり、水分補給のための薄くした梅ジュースを飲むのも楽しみの一つになっています。さっぱりした後の食事は食欲が出て、いつもよりたくさん食べているようです。お家で食欲がないという子でも、友達と一緒なら苦手な物でもちょっと頑張れるようです。そして先月も、卒園児の親御様からメロン、すいか、桃をたくさん差し入れしてくださり、子ども達の食欲を後押ししてくださいました。ありがとうございます。

「A Child is Born 赤ちゃんの誕生」(レナルト・ニルソン、あすなろ書房)という本で、生命誕生の神秘の記録に出会いました。受精し新しく生まれた胎芽は24日目に心臓が鼓動し始め、10週目で胎芽から胎児となり、人間らしく写っていきます。18週目には外からの音も聞こえるようになるとのこと…知っていたことも、写真で見るとそのリアルさに感動すると同時に、どんな風に撮るのかしら?と不思議でなりません。二人の子を産んでいる私ですが、本書の“はじめに”に記載されている通り、不思議の世界に飛び込み、宝石箱を開ける感覚で、鳥肌が立つような思いでページをめくりました。人類がこの神秘を繰り返して今私たちが存在し、一人ひとり同じ過程をたどっていると思うと、畏敬の念を禁じえません。

1歳3ヶ月児にこの写真を見せてみると、真剣に難しい顔をしていましたが、7週目の写真を見た途端、優しい目をして笑みを浮かべ、私の顔を見て嬉しそうに、“かわいいね、ぼくしってるよ”と言っているように、何度も「ねー!ねー!」と同意を求めるようなしぐさをしました。そして24週目の写真を見ると、「いいこ、いいこ」と優しくなでていました。まるで本当にお腹の中にいたときのことを覚えているのではと思えるほどでした。

この生命の神秘の過程を経て誕生している一人ひとりが尊いこと、誕生の奇跡を常に意識して保育しようと思いました。

園長 原田京子

2023年7月 のんなだより🍬

梅雨でムシムシしていて、身体的にはかなり厳しい日が続いています。また日本中で感染症が流行り、のんなでもお子さんたちやご両親たち、ともにご苦労なさいました。雨で散歩に出られないときは屋根のあるポーチに出てかけっこやシャボン玉をしたほか、レモン(2才児)さんグループは二人ずつレインコートを着たり傘をさしたりして園のまわりを散歩しました。ちょっぴり緊張して「レインコートかわいいね、て言われた!」と、特別な散歩に満足して帰ってきました。お昼ごはんやおやつは酢飯おにぎりにしたり、混ぜご飯や酢の物、サラダなど工夫したことで、病み上がりでも食欲が落ちずによく食べてくれました。

先日、コロナ禍により会うことが叶わなかった旧友4名が、土曜日にのんなに集まってくれました。昔、共に働いた保育士仲間です。10年前に新人だった人が立派なお母さんになっていることが不思議でしたが、取り組んだ勉強会や、手作りおもちゃを誰が作った等、保育の話に花が咲くと、すぐに10年前の仲間たちに戻り、一人ひとりが美しく輝いて見えました。3人は今でも保育を続けており、一人は他の分野で能力を発揮して輝いていました。

お母さんのお供で来てくれた3才と4才の子3人が、仲良く、のんなの遊具で4時間も遊んでくれました。のんなの遊具は1、2才児中心のものですが、大型積木を高く積み上げ、その上に馬乗りになって何か考え事をしたり、絵本に夢中になったりしていました。のんなには12種のパズルがあるのですが、4才の男の子が、簡単なものから一つ一つ真面目に取り組んだ後に、おもむろに広いところですべてのパズルをバラバラに置き、すべてを完成させ、そのタイムを計り、何度も繰り返してタイムを縮めることに挑戦している姿には、“かっこいい!”と胸を打たれました。

自分の思うこと、したい事をしっかり持ち、行動に移し、他に伝えたり他者を思いやれる姿を見て、なんと素敵な子たちだろうと目を細くしました。きっと親御さんをはじめ周りの人たちから愛され、自分に自信をもっているからできることだと思い、そんな子を育てた友人たちを誇りに思いました。そしてのんなの子たちもこんなふうに育ってほしいと思ったのでした。

卒園した子の親御さんが、農家の方からいただいたからと、沢山の野菜を届けてくださいました。毎日、子ども達の食卓に上っています。また、3年前に転園した子が近所に来たからと顔を見せてくれたり、卒園児の兄妹とご両親が1か月も前から計画して、大きなメロンのお土産を持って来園してくださいました。メロンとは別に、お兄ちゃんがきれいな袋にせんべい、グミ、うまい棒に手紙まで添えて手渡してくれたことは、またまた嬉しい出来事でした。ご自分が大好きなものを私のために取っておいて持って来てくれたので、もったいなくてしばらく食べられなかったのですが、休日に味わっていただきました。何年ぶりかにうまい棒を食べながら、彼が初めて麦茶を飲んでくれた時のこと、はじめて私の腕の中で眠ってくれた日のことを懐かしく思い出しました。

うっとうしい雨の月でしたが、たくさん素敵なことがありました。

園長 原田京子

2023年6月 のんなだより🍲

高井戸駅から環八を渡り、神田川沿いに入るとき、背の高い葵の花(黄色と薄いサーモンピンク)が優しく迎えてくれます。大きな葉が花を支えているようで、頼もしさを感じます。雨の日は紫陽花がいつもより元気に輝いて見えます。

子ども達は、まめに手入れされた美しい花壇を観ながら毎日のように散歩に出かけます。6月は雨の日が多く、散歩に出る回数は減るかもしれませんが、この季節の自然を楽しみたいと思います。レモン(2才児)さんは傘をさしての散歩も経験できそうです。雨の日はレインコートがあるといいですね。

散歩から帰ると「ただいま~!」(「おかえり~」と言う子もいます^^)と顔を赤らめて、「お腹すいた~」と手を洗います。みかん(1才児)さんはもう待ちきれず、早く食卓椅子に座らせてほしくて大騒ぎ。今年のみかんさんは月令が低く前歯しかない子が多いので、おかず類も少し薄味で、小さめに切ります。食べるときは食感の違いがあると食べづらいので、同じ食感のものを口に入れるようにしています。

野菜の煮物から食べる子、肉や魚から食べる子と好みは違っていても、皆ほとんど完食します。スプーンを右手に持ち、左手で上手につかみ食べします。この手づかみ食べは、目と手の協調運動ができていることの証ですので、大切にしています。手が汚れるのを好まない子は、スタッフに食べさせてくれとせがみます。そのせいか、フォークやスプーンの使い方がとても上手になっています。もちろん、手が汚れない物はつまんで食べます。おちょぼ口で食べ物を少量しか口に入れない子も、時間をかけてしっかり食べています。18か月目を過ぎる頃から、好みが出てきたり食べたい量が決まってくるので、そのときにどうなるかも楽しみたいです。が願わくば、このまま何でも好んで食べていってほしいです。

れもん(2才児)さん達は、ほとんど自分で上手にスプーンで食べるようになり、多少の好みはあるものの、まったく食べられない物はないようです。食べ始めて少しすると、「おいし~い!」という声が聞こえてきます。何を食べたときにそう言うのか見てみると、煮物類(麻婆豆腐、カレーを含む)、特にカレーは「食べ物ですよ、飲み物ではありませんよ」と言いたいくらいのスピードでなくなります。それも大人並みの量ですのに…。次に多いのがみそ汁です。飲んだ後は「ハァ~」と、まるで大人がビールを飲んだ時のようなリアクションです。入園当時はほとんど食べられなかった子が言うので、特に嬉しいです。のんなのみそ汁は自然の鰹、昆布、椎茸を粉にした出汁を使い、野菜をたっぷり入れて、みそは少なめで出汁の味を感じられるようにしています。

今年の新入園児の一人が、園では白米、みそ汁、パン、うどんしか食べません。でもお家では親御さんが食べている物をほしがったり納豆を食べてたりしているとのこと。どんな風に調理すれば食べてくれるのか、どんなシチュエーションなら席についてくれるのか、などと考えるとやる気が出ます。これから徐々に食べる量、種類が増えていくのが楽しみです。卒園児の中にも、家では白米しか食べなかった子が、2~3ヶ月でほとんどの給食を食べるようになった子もいましたから。

園長 原田京子

2023年5月 のんなだより🍒

新緑の桜の葉がそよ風に揺れ、通る人を心地よくしてくれています。子ども達も毎日のように新緑の木の下を通り、散歩に出かけます。小さい小さいさくらんぼが落ちているのに気づき、しっかり握りしめてお土産に持って来てくれます。その顔はほおを紅くし、笑顔いっぱいです。

新入園児を迎えて1ヶ月です。1日目は珍しい遊具や友達に関心が向き、泣かずに時間が過ぎましたが、2日目からは親御さんから離れる辛さがわかって登園時から泣き出し、食事や午睡の時にも泣いていた子たちも、今では「ずーっと前からのんなに居ましたよ!」というようによく遊び、たっぷり食べてぐっすり眠ってくれます。散歩先でみかん(2才児)さん達がかくれんぼをする中で、かくれんぼのルールを理解しているかのように、隠れる人を探す様子さえ見せています。

新入園児を迎える先輩(レモンさん)達にも、こんなことがありました。まだ心を開かず椅子に座って食事をしてくれない新人A君のために、おにぎりやパンを皿に乗せておいた時、A君がテーブルに近づいて取って食べたのを先輩が見て、“あ!食べてくれたね”とスタッフに視線を向け、静かに喜んでくれました。また別の日、おやつ時にA君が初めて椅子に座って(のんなっ子たちが大好きな)オリーブトーストとビスケットを食べてくれた時にも、先輩たちはチラッと見るだけで(いつもは賑やかに食べるのに)黙々と食べていました。そしてA君が自分たちのお代わりのトーストまで食べてしまったので少し残念そうでしたが、いつもだと「もっと食べたい~」とお代わりを要求するのに、“A君もいっぱい食べられたね”というように、それぞれ自分から「ごちそうさま~」と笑顔でテーブルを去ったのでした。それを2才から2才半の5名が同じようにしたことは驚きです。今どういう状況かを理解し、“自分たちが声を出すことでやっと座って食べはじめた新人を立たせてはまずい”ということが、誰も口にしなくてもわかる、いわゆる非言語的能力が育っているのですね。5時のお茶の時間に、「さっきはA君が皆の分を食べても怒らなかったから、いつもより沢山おせんべいを持ってきたよ、ありがとう!」と言うと、みな喜びの笑顔を見せてくれました。

もちろんまだ2才児ですから、いつもいつも大人のような対応はしません。苦労して作った積み木を崩されたり好きな玩具を取られたりすると、新人といえども容赦しません。怒ったり突き倒したりします。まだ2才児ですので、自分のことを守るために必死で戦います。これも生きるために大切なことですから。

園長 原田京子

2023年4月 のんなだより🌸

風に舞う桜の花びらを手のひらで受け止めようと、自分も踊るように追う子ども達が愛おしく、神田川の川面に浮かぶ花びらを見て、「お花が流れている」とつぶやく子どもは詩人です。2023年度、のんな保育園5年目のスタートです。今年度はみかんさん(1才児)4名、れもんさん(2才児)7名の、計11名です。子どもの気持ちを尊重し、やりたい事をやりたい時にできるよう、ほっこりした雰囲気の中で保育してまいります。

3月31日で、旧れもんさん4名が卒園いたしました。4名全員が天才的な個性の持ち主でした。ちょっぴり我慢するのが苦手ですが、いろいろ考えて魅力的な電車を作ったり、足し算、引き算が大好きな知能派くん。誰もが信頼し、赤ちゃんが泣いていると一緒に涙する優しいお兄ちゃん。時計が大好きなビッグベン研究家。音楽が大好きで、歌に合わせてエアピアノを弾くほどピアノ大好きさん。それぞれすてきな特技を持ち、他園に移っていきました。それぞれの個性が尊重され、伸びやかに育ってくれますよう願っています。いつの日かお会いできますように。

のんな保育園は0~3才児だけの園ですので、常に成長期(イヤイヤ期)の真っ只中です。ほしいものがあれば誰が使っていても取ってしまい、取っ組み合いのけんかになるので、目が離せません。トイレや食事に誘っても「イヤ!もっと遊んでから!」と断られます。そんな時は「は~い、もう少ししたらまた声かけま~す」と待っています。しかしお母様、お父様は、努力なさっていますが、時間のご都合できっとお困りのことが多いかと思います。

先日、こんなお話を伺いました。お子様が横断歩道の真ん中で抱っこを求め、道路に大の字に横になったので、いつもは叱ったりしないお母様が、ここはきちんとしなければ!と叱ったそうです。私は、「そんな時は、『私のかわいい○○ちゃんが車にひかれたらたいへん!』と、無理にでも抱っこしてその場を離れましょう」と言いました。叱らないともっとわがままになるのではないかご心配かもしれませんが、ご両親が自分に関心があり、いつも心を向けていてくれることが分かれば、落ち着くものです。わかるまで何度でも何十回でも言葉や行動で伝えてあげてください。抵抗しなくなるまで。

私の好きな児童精神科医の佐々木正美先生は、「子どもは過保護がいいです。過干渉はいけません」と言います。私は先生の“子どもへのまなざし”を保育のバイブルにしています。「育てにくい子と感じた時に読む本」を、最近読みました。保育が少し楽になります。よかったら、育てにくく感じない方も読んでみることをお勧めします。毎年、子どもが替わればイヤイヤ期の内容も変わります。ご父母様とご一緒に、今年はどんなイヤイヤ期を見せてくれるのか、楽しむことにしましょう。

園長 原田京子

2023年3月 卒園記念カップ

今年度の卒園児4名の、卒園記念カップです。一年分のアートの日の作品の中から、「カップにするので選んで欲しい」と、自分の作品を一つ選んでもらいました。みんなしっかり「これ!」と選んでくれたのが印象的でした。

2023年3月 のんなだより👹

冷たい風が吹き寒い日もありますが、日一日と春の空気を感じるようになりました。2月17日は願いが叶い、雪が降りました。のんなの子たちはうっすらと木々に積もった雪を見たり、空から落ちてくる雨とは違うものを不思議そうに眺めていました。避難車のカバーに積もった雪を洗面器に集めて、部屋でさわったり握ったり、小さな小さな雪だるまを作りました。すると、一人が「グランマ、冷たいよ~、あったかい雪もってきて~」と言いながら他の遊びに移り、もう一人の2才半の子は「水が出てきたよ~、雪だるま小さくなってる~!」と不安そうな顔をしたので、すぐにその子にコートを着せ、抱いたまま降る雪を手のひらで受けて溶ける様子を見せると、ジーッ!と手のひらを見てから「なくなっちゃった!」 私が「溶けちゃったね!お水になっちゃった」と言うと、「溶けちゃった?溶けちゃった!」と何度も繰り返しながら空を眺めていました。

2月3日の節分の日に親しい友人からメールがあり、のんな保育園ではどんな節分の行事をしたのか、と質問されました。なぜ聞くのか尋ねると、たまたま見学に行った保育園で、節分の行事で次々と鬼に扮した大人が出てきて怖い鬼を演じるので、子ども達は恐怖のあまり顔をこわばらせて逃げ、大泣きする子もいたとのこと。友人はその光景を見て、「これってどうなのかしら?」と思ったとのことです。

ちなみに“のんな”では紙芝居を見せて、人にはそれぞれ弱いところがあり、泣き虫鬼がいたり怒り鬼がいたりするので、その鬼を絵に描いて壁に貼り、新聞紙を丸めて作った豆を「鬼は~外!」とぶつけて追い出しました。みな大喜びでした。昼食にはユーモラスな鬼の形をしたおにぎりと煮豆を食べて過ごしました。“のんな”の場合は0~2歳の乳児クラスなので、主に食べ物で行事を楽しむようにしています。

私は長年の保育士生活の中で、大人が鬼を演じる節分も経験しましたが、「本当にこれをする必要がある?」と疑問に思い、行事をどんな風に楽しみたいか、子ども達と相談するようにしていました。年長クラスを担当した時には、「クラスを鬼のグループと退治するグループに分けて、途中でその役を交代して両方を経験したい」といった意見が出ました。また「乳児クラスの入り口で、鬼が外から入って来ようとするのを、退治役のグループが追い出す様子を見せる」との案も出て、これが乳児クラスで好評だったことを思い出しました。

保育園の行事については、どんな風に取り組むかはそれぞれの園で想いがあるかと思いますが、幼い子を怖がらせて泣かせるのではなく、ちょっと怖いことがあっても“大丈夫!”と勇気を出したり、“楽しかった!”という気持ちで終われるような行事にしたいと私は思っています。

園長 原田京子

2023年2月 のんなだより⛷️

一年の間で最も寒い日が多いこの時期、先週の夜、小雨から雪に変わり、コートにつく雪をほんの少し楽しみました。翌朝、うっすらでも白く積もっていてほしいと願いましたが、なんと真青な空に太陽が輝いていました(雪国でご苦労している方々、ごめんなさい)。せめて年に一回ぐらいは車の上などに積もる雪を集めてでも小さな雪だるまを作り、園児たちと冬を楽しみたいと思いました。もしかしたら今月チャンスがあるかも知れませんね。

先月はコロナや胃腸炎が発生し、いつもは病気欠席者の少ないのんな保育園でも、さびしい日がありました。お子様が病気になると親御さんは心を痛め、苦しむ我が子と代わってやりたいと、辛い思いをなさいましたでしょうね。今月は寒い日もあるでしょうが、水温む月でもありますので、また元気に戸外で遊び、病欠者が少なくなってほしいです。

レモン(2才児)さんはこの3月で他の園へ巣立ちます。全員新しく入園する園が決まり、安心しております。レモンさんにはたくさんのことを経験してもらうのですが、その一部をご紹介します。

・片付けについて
いつもスタッフが片付けますが、レモンさんには「次の人が困らないように、一緒に片付けようか?」と誘います。おことわりされることもありますが、使ったものは片付けた方がよいのだということは伝わっているようです。今できなくても、大きくなるにつれて自分で必要だと思ってやってほしいです。

・排泄自立について
“トイレトレーニング”と言う方もいらっしゃいますが、のんなではトレーニング(訓練)とは言っていません。きんかん(0才児)ちゃんの時から常にプライベートゾーンが汚れたら不快に感じ、大好きな人に清潔に気持ち良い状態を保ってもらい、ただれていたら洗って薬を塗ってもらうなど、心をこめて大切に扱ってもらうことが基本です。「ズボン脱ごうね」「きれいに拭くからここ触るよ」「痛くしないからね」などと声がけするようにしています。みかんさん(1才児)やレモンさん(2才児)になると、遊びに集中しているときにトイレに誘われると嫌がりますので、様子を見て便座に座ってみることをすすめて、少しづつトイレで用を足す快感を覚えてもらうようにしています。

プライベートゾーンについては、「正しい触られ方、誰にケアされているか」を知り、今何をされているかを理解できるようになることが重要です。何かあった時に「この人からこの触られ方はおかしい!」と気づけることは、自分で自分の身を守ることになり、性教育につながると思っています。

園長 原田京子

2023年1月 のんなだより🐰

新年明けましておめでとうございます。
真青に澄み切った空の元、吸い込まれそうになります。日差しをあびていても空気はつめたく、元旦ともなればシャキッ!とした気持ちになります。

年頭に子ども達のすこやかな成長とコロナの収束、子どもが犠牲になる戦争がなくなるよう、祈りました。そして今、子ども達が元気で安全に過ごせていることが幸せでありがたいことだと、つくづく思います。日々成長し続ける子ども達を見のがすことなく、大切に大切に保育させていただこうと誓いました。

一週間のお休み中、遊びやおしゃべりの中で、いつの間にこんな事ができるようになったのかしら?そんな事話せるの?という発見がたくさんあったのではないでしょうか。そして目に見えるほどの毎日の変化が楽しかったことでしょう。たまに会うおじいちゃま、おばあちゃまに会い、成長をたっぷりご披露し、喜んでいただいた方もいらっしゃると思います。子ども達の成長は、周りの大人たちを幸せにしてくれるものです。

お家では年令なりの赤ちゃんで甘えん坊さんが、ひとたび外に出るとお兄さんお姉さんぶりを発揮して、私たちを驚かせます。私の孫も生後5ヵ月ごろから私の家に来ておりこうさんにしていますが、家では甘えて親にはわがまましているようです。

こんなことがありました。2才3ヶ月の子が「あかちゃんのためにえほんよんであげるね!」と、8ヶ月の子(きんかんさん)に自分の好きな自動車の本を持って来て、「これな~んだ?」と自動車のシルエット画を見せてから「これはパトロールカーで~す!」と言ったり、赤い車のところにきんかんちゃんの指が届くと「○○ちゃんはしょうぼうしゃがすきなんだね…」と、まるで大人のような口調で受け止めたりしていました。そして本を読み終わると、また自分の遊びに戻りました。きんかんちゃんも神妙な顔で最後まで絵本を読んでもらっていました。その様子に、われわれスタッフは見入ってしました。なんと“かっこいい”のでしょう。

私たちに甘えて抱っこを求める姿、友達と玩具を取り合って負けて大泣きする姿、積み木で複雑な構成を考えて作ったり、壊したり工夫する真剣な姿、小さい子をかわいがり、自分でできることをしてあげようとする姿、どれもその子の本当の姿です。そのギャップが何ともいとおしいです。このギャップを大人に受け止められ、認めてもらうことこそ、子どもの成長につながる事だと思います。日々の生活の一瞬いっしゅんを、大切に受け止めてまいります。

園長 原田京子