2020年12月 のんなだより🍊

今年はテレビ画面でたくさん紅葉狩りをしました。コロナ禍で旅に出られないと思うと、自然の美しさに心奪われるものなのですね。今まで自由に行けるときにいつも旅行していた訳でもないのに…。東京の紅葉はいつもより遅いように思います。散歩に出た子どもたちがきれいに色づいた葉っぱを見つけ、「グランマ(私)にお土産にする!」と持って来てくれるようになったのは11月の末でした。それはやはり、画面で見る美しい紅葉よりも嬉しいことです。1才児がきれいな葉を見つけ、嬉しい!と思ったと同時に、散歩に同行していない人のことを想うのです。珍しいものや素敵なものを見つけると、よく「ママに持っていく!」とも言います。なんと素敵なことでしょう!

先に登園した1才児が次に登園した友だちに、いま使っていたお気に入りの玩具を「ハイどうぞ!」と渡して、会えた喜びを表現します。なんと愛おしいことでしょう!一緒に遊び始めると、そこは1才児のこと、すぐに玩具の取り合いで喧嘩になり、どちらかが泣いたりもします。登園して2人が揃うと、エプロンをつけて朝ごはんの準備、それぞれ好きなものを作ります。次々に登園した0才児に椅子に座ってもらい、朝食を振舞います。0才もそれに応え、上手に座り続けます。まんざらでもなさそうです。人形をおんぶしながら作る姿は、なんとも頼もしいものです。

先日、こんなエピソードがありました。2才児の男児がある日、「ぼく○子ちゃんが好きなんだ」「そうなの?」「んー」とニコニコ。「○子ちゃん、あそぼー、おままごと!」「○子ちゃん、お肉買ってきたから…」と誘っています。別の日の昼食時、○子ちゃんがデザートのみかんを「もっともっと欲しい!」と言うのを耳にすると、まだみかんを食べていない男児は「あげて!ぼく食べない」「あら、みかん大好きじゃない?(3日前にはおいしそうに食べていたので)」「ぼく嫌い!」「じゃあ半分は食べて、半分あげたら?」と聞くと「いらない。全部あげて!」とキッパリ言って、さっさと“ごちそうさま”をしてしまいました。この会話を他の子も耳をダンボにして聞いていたので、「それじゃ○子ちゃんと他の2人に半分ずつ上げていい?」と聞くと、ニコッと笑って「うんうん」と満足そうに席を立ったのです。その3日後、同じみかんがデザートに出ると、いつものように「ボクみかん好きなんだ!」と言ってパクパク食べていました。「そう、○子ちゃんにみかんをあげたときは嫌いだったの?」と聞くと、“しまった!”というように苦笑い、そして「ハッハッハ!」とその場を和ませたのです。その様子は、まるで中学生並みです。

こうしたエピソードから、1才児でも大切な人、好きな人のために自分でできることをしたい、自分が大好きなものまで与えたくなる、献身的になる、心の成長があるのだと、毎日感心させられています。子どもに学べ、子どもをなめるな!と言われているような気がします。本当に勉強になります…。

園長 原田京子

2020年11月 のんなだより🍂

例年ですと、11月になると神田川の桜の葉が黄色や紅に染まり、ヒラヒラ落ちる様を見ることができるのですが、まだ鮮やかに色づいた落ち葉が見つかりません。昼・夜の寒暖の差が少ないということでしょうか。

先日2才児と夕方散歩に出た時のこと、急に道端に寄り、落ち葉の上を一足一足踏みしめるように歩くのです。“昨年秋探しの散歩の際に、スタッフと一緒に落ち葉を踏み、その音を聞き、秋を感じたことを覚えていたの?”と思い、「何をしているの?」と聞くと、「シャッシャッ」と音を楽しんでいるのです。私も一緒に彼の肩に手を置いてあとについて歩き、しばらく楽しい時間を過ごしました。そのときの彼の柔らかな表情は私の宝物です。

1才児は昨日まで「オハヨーごさいます!」と深々と腰を曲げて挨拶していたのに、今日は「イヤだ!」と保育室に入るのを拒否したりと、急に成長期(イヤイヤ期)に入り、大人を驚かせています。何とすばらしい事!今までは大人の言うことに従い、かわいい仕草をしていたのが、自分で考えたり、自分は今どうしたいのか、自問自答しているのですから、まさに成長しているのです。お祝いしなければならないほど、おめでたいことなのです。が、忙しいときに「イヤだ!自分でする!」等と言われると焦りますよね。今、園での生活の中で、何かをする時に枕詞のようにまず「ヤダ!」から始まるので、「優しく『いやよ』と言って」と頼むと、「ヤダ!」と言ったり「イヤヨ!」と返って来ます。またそれがかわいいのですが…。散歩に出るときと、お食事の前の手洗いに誘うときは、誰もが素直にやってきます。ありがたいことです。

自我に目覚め自尊心が芽生えて来ているのですから、「ダメでしょう」とか「いけません!」と否定的に対応すると、ますますエスカレートしてどうにもならなくなる事があります。「どうしたいの?」「そう、こうしたかったのね」「でも今はこれしかできないのよ、ごめんね」などと言うと、「イヤだ」と言いながらおとなしく従ってくれたり、「うん」とわかってくれたり。またお手伝いしてくれることが大好きで、食事時のおしぼりを運んだり、午睡後のコット(子供用ベッド)を片付けるのをスタッフと一緒にやってくれます。その時の顔は、とても得意顔です。人の役に立っていることに、自尊心が満たされるようです。

9ヶ月児が、7ヶ月児の後輩が来たとたん、いつもと異なった表情をします。這い這いをする後姿を優しい眼差しで見たり、玩具を差し出すようなしぐさをするのです。つい昨日までは甘えて抱っこをせがむことが多かったのに…。こんな月齢でも、自分より下の子に優しくいとおしむ態度がとれるのですね。子どもたちのこのような成長の傍らにいられることが幸せです。

園長 原田京子

2020年10月 のんなだより🍱

9月18日にプール仕舞いをしたのは、長い保育士生活の中で初めてだったように思います。9月に入って1回か2回すると、すぐに涼しくなってしまうのが常でした。長い長い暑い夏でしたね。10月に入ってもまだ暑いですが、夕方6時になると急に暗くなるのには驚きです。お迎えに来られた親御さんとお子さんを見送るとき、明るいときには感じなかったのですが、暗くなってからお見送りするときには、“無事帰ってね、ごはんは簡単にして、ゆっくり休んでね”と思うのです。私の娘と同じくらい、いやもっと若いお母様方が、一生懸命に子育てしている姿が愛おしいのです。

かつての私は、仕事と子育てをする中で「食事はきちんと作ろう」と冷凍食品や缶詰類は使わず、出来合いのおかずを買うこともなく、変に気負っていました。その時は忙しさのあまり、大変!辛い!しんどい!と考える余裕さえありませんでした。次々にしなければならないことをこなすのですから、常に緊迫状態にあり、わが子たちは私に追い立てられ、私に話したいことや「嫌だ!」と言うこともできないほど、私に気を使っていたのだと思います。今思えば、冷凍食品や缶詰は安全で栄養たっぷり、ちょっと手を加えればおいしいおかずができますし、時には出来合いを利用していればもっと時間をうまく使えていただろうと反省しています。ですから御父母の皆様には、ご自身が疲れないように家事は最低限にして、お子様との時間を楽しんでほしいと願います。

つい最近、長男が1才児のときの保育園の連絡帳を読み返しました。42年ぶりです。すっかり忘れていたことがほとんどでしたが、その時は真剣に育児をしていたのだなと思いました。しかし、やはり忙しさの中で我が子を追い立てていたようで、申し訳ない気持ちになってしまいました。それでも子供たちは、「母さんは忙しそうでかわいそうだったよね。ぐれたら母さんにうるさく騒ぎ立てられて面倒くさかったし、ぐれる勇気もなかったよ」と、寛容というより諦めていたようですが。

お母様、お父様、どうぞ、しんどいときは頑張らないで、周りに“助けてもらう”勇気を持ちましょう。いいのです、だって“国の宝”を育てているのですから。いつでものんなにいらしてくださいませ。

園長 原田京子

2020年9月 のんなだより🎑

9月に入った途端、うるさかったセミの鳴き声が静かになりました。桜の黄色くなった葉が落ちているのが目立ちますが、まだまだ残暑は厳しいのでしょうね。もう少し水あそびが楽しめそうです。我がのんなっ子は暑い夏も朝から元気! 登園と同時に友だちとハグして喜び合い、走ったり舞ったり、合間にお茶を飲んでから絵本に集中、教具コーナーで遊びに没頭と、それぞれ自分の好みの遊びを選び過ごしています。一番ありがたいことは、子どもたちの食欲が落ちなかったことです。また水あそび(プール)を毎日することで、午睡時間もしっかりと取れていました。病気による欠席がほとんどなかったことは、嬉しい限りです。

2才児(レモンさん)たちと夕方に散策に出て、セミの声を聴いたり、セミが地面から出る穴や、生まれたてのセミが桜の樹を登りはじめたところを見たり、雨上がりにヘビ(青大将)が神田川から直角に滑るように登ってくる様子を見て「オー!!」と驚嘆するなど、自然観察が増えました。セミの鳴き声が大きくなると「ママーママーって鳴いてるの」という子、セミが地面から出る穴を見て「暗らっ!」とのぞく子、生まれたてのセミを見つけて「みかんさんに見せる!取って」と私に頼む子。そしてセミの抜け殻を「これはボク取れるんだ」とつぶさないように持って帰る姿は、何とも愛おしかったです。お土産に持ってきたセミを1才児(みかんさん)が触れると、2才児もそーっと手を出し触れようと頑張るのですが、やはり怖いようで、手を引っ込めていました。そして生まれたてのセミが弱らないうちに、皆でバイバイしたのでした。この経験も夏の思い出の一つに加えてくれれば嬉しいですね。

8月に7ヶ月の男児がのんなのメンバーになりました。1才児たちは、そばに来てあやしたり、泣くと優しくなでなでしたりハグしたり、大人が抱っこすると人形を抱っこして隣に立ち、大人と同じようにかかとを上下してリズムを取ったりと、まるで小さな保育士です。2才児たちは、泣いている0才さんの手の届くところに黙って玩具を置いていき、自分の遊びに戻ってからも、ときどきチラッと新入園児の姿を見守ってくれていました。すると、あまり表情を表に出さなかった0才さんが、入園3日目、お兄ちゃんお姉ちゃんが近づいたりスタッフが話しかけると笑みを浮かべるようになり、お兄ちゃんたちを目で追うようになりました。そして今では泣くのは眠い時だけになって来たのです。子供同士の力ってすごいですね。親御さん達から、のんなに入ってから家でも活発になった、よく笑い機嫌よく過ごすようになった、食欲が出てきた、お話を聞こうとしたり、お話をするようになったと言って頂いています。そうなんです、ちょっぴり多い兄弟、姉妹たちからの刺激を受け、また一人ひとり丁寧に見守ることができる人数ですので、静かにお家にいるときより、顕著に成長が見られるのでしょう。一番その助けをしてくれるのが、子供同士の力。それには私たち大人はかないません。

のんなの子どもたちに感謝です。

園長 原田京子

2020年8月 のんなだより🚄

やっと蝉の元気な鳴き声が聞こえるようになりました。長い長い梅雨でしたね。それでも雨の合間に散歩ができ、梅雨時の自然観察をしたり、運動等、戸外での遊びを楽しめました。2才児は傘をさしての散歩も経験しました。帰ってからのシャワーを浴びるのが大好きな子どもたちは、さっぱりして沢山昼食を食べてくれています。このまま食欲が落ちないことを願います。今月こそは子ども達がプールで水に興じるときのあの歓喜の声をたくさん聞きたいです。

1才児(みかんさん)達はおしゃま盛り。お人形を抱いてお出かけしたり、お人形を寝かせて「大根一本ぬいてきて~♪」と、自分がしてもらう手遊びを人形にしてあげたり、午睡用のコット片付けのお手伝いや、おやつ時間になっても起きない2才児さん達を起こしに行ったりと、それはそれは忙しくお世話をしてくれます。そのしぐさの愛らしいこと!今は言葉の獲得時期で、毎日新しい言葉を覚え、その場に合った言葉を使うので驚きです。「これなに?」「ちょうだい!」「いってらっしゃい!」「おかえり!」等…いま一番のブームが「ヤダ!」。「『イヤヨ』っておっしゃいよ」と言うと、「ヤダ!」とバッサリ切られてしまいました。私達大人の話を聞いていて覚えたのでしょうね。正しく美しい言葉を使いましょう!とスタッフ間で反省しました。

2才児(レモンさん)達は、木のレールで複雑な路線を組み立て、特に坂をどう造ろうか考え、毎日異なった形を造って見せてくれます。「こうやろうかな?あっ!こっちの方がかっこいいかなー。ア~ッ脱線だ~!これで完璧だ!」などと、解説しながら造っているのです。男児2人で仲良く造るのですが、ときどき意見の衝突があり、「こうやるからその線路ちょうだい」「やだよ、僕の!」「いっしょだよ(一緒に使おう)」「うん、はいどうぞ」と話し合いができていて、思わずお兄さんになったな~、と笑みがこぼれます。

電車が好きな2才児と、一人ずつ別の日に井の頭線に乗りました。ちょっぴり緊張して私の手を引っ張るように早足で歩き、階段もストンストンと上手に上り下り。「井の頭線の電車に乗って、どこに行きたいですか?何を見たいですか?」の質問に、「吉祥寺!」「電車いっぱい!」「レインボーに乗りたい」「パープルに乗りたい」「ブルーが見たい」「車庫が見たい!」と、きちんと希望が言えるのです。出掛ける時に「こんなことができるよ」と内容を伝えただけで、約束事は何一つしなかったのですが、余計な注意をする必要もなく、彼の表情を見て楽しんで帰ってきました。ご家族とのお出かけは楽しいことですが、保育園スタッフとのお出かけはちょっぴり責任を感じつつ、かっこよく頑張っていたのかもしれません。園に帰ってからの彼らは、満足したのか自信を持ったようで、自分より小さい児にとても優しく接してくれています。これからも沢山の体験をして自信をつけていってほしいです。

先日、ご父兄の方がのんな保育園のクチコミに投稿して下さいました。子ども一人ひとりに寄り添って持てる力を引き出し、あるがままの自分に自信を持ってもらうための保育を目指しているのですが、その保育を認めていただいたことを大変嬉しく、感謝すると共に、ご期待に応えられるようより一層努力しようと、スタッフ間で心を一つにいたしました。

園長 原田京子

2020年7月 のんなだより🌌

木々の葉が深い緑で私たちを強い陽射しから守ってくれています。6月は雨の日が多かったのですが、雨上がりの合間に散歩に出かけ、花を愛でたり虫を見つけたり歩行を楽しみ、帰ってからシャワーを浴びたりできました。早く蒸し暑さからのがれ、“スカッ”とした暑さの中で水あそびを楽しみたいものです。

1才児(みかんさん)たちは歩行がしっかりしてきて、高い所へ乗って「バンザイ!」するのが大好き。ヒヤヒヤさせられますが、頼もしいです。自己主張ができるようになり、大人の都合のよいようにばかりはいかず、友達同士ものの取り合いや悪いことは互いに真似っこします。摩擦も増えてきています。その中で力の強さの差を知ったり、それでも諦めたくない…ここは引いた方がいいかな…等、1才児なりに学んでいるところです。そして、相手の好きなものを「どうぞ」「ありがとう」と互いに頭を下げあっているシーンは、愛しく感動いたしました。

2才児(レモンさん)たちは、第1成長期(イヤイヤ期といわれる)で、いろいろなことを想い、言葉も多くなり、挑戦しようとしますが、周りの大人の不都合なこともしてしまい、否定されることが多くなり、抵抗を示します。反面、相手の思いも汲もうとして、優しくしたりお世話をしたりもできるようになりますので、危険なこと、相手を傷つけてしまうこと以外は見守るようにしたいです。

1才児のヤンチャを許せないときもあり、「やめて!」と制して倒してしまうこともあります。2才児になると、大人が思っているより複雑です。失敗してしまったときは本人が一番わかっているので、皆の前で諭そうとしても落ち込んでしまうタイプ、反抗してうそぶくタイプ、質問攻めで気をそらそうとするタイプ等があるので、「ダメでしょ!」と言ってしまいがちですが、2才児なりの理由があるはずですので、本人と2人だけで気持ちを受け止めるようにしています。

そして、私の想いもしっかり伝えます。叱るのではなく、「○○ちゃんがそんな事をすると私は悲しい。こうしてくれたら嬉しいな」と、ただ優しくではなく、真剣にしっかり短く伝えます。「できることは何でもしてあげるけど、これはいいって言えないのよ」ということは、ひるまず伝えるようにしています。賢いお子様の心には、一番伝わるように思います。“いつもは優しいけど、ダメなことは絶対ダメなんだなー”と、回を重ねて悟ってくれるようです。

こんなことがありました。1才児が泣いていると、2才児の子が「泣いても同じ。いいよって言ってあげられないよ」ですって。可愛いだけの赤ちゃんから成長して、「イヤ!」と言えるようになり、自分の意見を持てるようになったということで、嬉しいことなのです。言葉が達者になり、つい叱りたくなりますが、“この世に生を受けてまだ2~3年しかたっていないのに、こんなことができるのね”と、喜べるといいですね。

これからどんな成長を見せてくれるのか、とても楽しみです。

園長 原田京子

2020年6月12日 絵具遊び

浅羽聡美先生とともに毎月行うアートの時間を、6月より再開いたしました。アートの時間の様子は保育園の「表現者たち」展facebookページでも紹介されています。

2020年6月 のんなだより☔️

爽やかな日があるかと思うと、蒸し暑い日もあり、安定しない陽気です。木々の芽が霧雨を含み、緑が濃くなり、力強さを感じます。今月は作物の成長に必要な雨降りが多くなりそうです。

先日、雨の降る中、傘をさして2才児と散歩に出ました。いつもは活発で、先へ先へと走り出すのですが、その日は慎重に歩き、雨に濡れないようスタッフの心配までしてくれるのです。咲き始めの紫陽花はピン!と立ち、花びら一つ一つがパン!と張っていて思わず触りたくなったようで、優しくポンポンと触れていました。また神田川を見つめ、いつも見ている鯉がいないと「お家に帰っちゃったかなー」と独り言…このように、いつもとちがった様子が伺え、愛おしさを感じます。

雨季は室内の遊びがじっくりできる時でもあります。一人一人のやりたい遊び(砂あそび、お絵描き、マット遊び、教具遊び、等)を満たすことができる良いチャンスだと思っています。少人数制の保育園ですので、一斉に遊びの提案をしたり約束事を押しつけずに、やりたい児がやりたい時に経験できたらいいと思っています。この月令児には特に、教え込んだり、無理に条件付け(「帽子を被らないと散歩に行けないよ」)ではなく、「散歩に行くから帽子を被りましょ」でよくて、もし嫌なら被らず、被った方がいいかなーと思うまで待つようにしています。人は愛してくれる人、尊敬できる人、憧れる人、要は好きな人がやっていたり見せてくれたり、伝えてくれたりした事は素直に受け入れたいものだと思っています。

2才児の親御さんの連絡帳から、“お家で「ごはんになるからそろそろ片付けようー」と言いながら今まで遊んでいたものを片付け始めたので、驚きました。保育園で教えてくれたのですね”とのことでしたが、のんなでは遊び中はなるべく子どもの邪魔をしないように、あまりすぐに片付けないようにし、踏んでは危ないような時はスタッフが何気なく片付けるようにしています。食事前には確かに「片付けましょうか」と言ってスタッフが片付けますが。一緒にやる児もいれば、いま持っている玩具をしまいに行くだけの児もいて、それでよいと思っています。きちんと片付けたり、大人の言う通りにやってくれることは大人にとって都合がよく、その児は“良い子”と思いたいものですが、誰だって嫌なことは嫌、やりたくない時だってあります。子ども達が納得してやるようになるまで待ちたいですね。

~ほっこりエピソード~

先日のこと、50才代の方でしょうか、男性が高井戸駅前歩道橋の階段を、箒とちりとりを持って清掃して下さっていました。私も綿ぼこりとゴミが気になっておりましたが、自分が清掃に行くほどの勇気はありませんでした。その方は黙々と清掃していらして、私がお礼申し上げると、ちらりと目を上げて下さり、特別のことではない…といった風でした。さりげなく公共の場を気持ちよくしてくださる方に感謝しながら毎日通っています。

園長 原田京子

2020年5月 のんなだより🎏

神田川沿いに並ぶ桜の木の青葉がそよ風に吹かれなびいています。昨年と同様、川沿いには“花咲かせ隊”が心を込めて色とりどりの花を咲かせてくれています。例年ですと近所の保育園児たちが行きかうこの通りが私は大好きで、“幸せの緑道”と思っています。ところが今年はほんのわずかの人通りで、新型コロナ感染拡大防止のためステイホームしているのでしょう。今はそれが一番いい事なのですが、悲しい限りです。

この3月にのんなから認可保育園に転園された方からメールがありました。入園してすぐに閉鎖され、ご両親が在宅勤務になったので、ご両親が交互に育児されており、“よい子育てのチャンス”と思ってらっしゃるとのこと。それにしても、“いつまで”という期限のわからない毎日ですと、“良いチャンス”とばかりは言っていられないことでしょう。お子様の世話をしながらお仕事をしなければならないのですから、どんなに大変なことでしょう。またある方は、お兄ちゃんお姉ちゃん達の学校が休みで家族が揃っているので、一日中“食事作り”をしている感じだと仰っていました。どんなに優しい家族でも、外にも出られずそれぞれがストレスを抱えてしまいますよね。どのご家庭も大変なのだろうと思います。

“子どもの一日は大人の一年に匹敵する”とある教育者が言っておりましたが、特に0、1、2歳児は午前と午後でもうすでに変化が見られ、その成長発達に目が離せないほど。私も日々その言葉を実感しております。今、世の保育園、幼稚園、学校が長い春休み状態、それも急に休みになったので、大人も子どももとまどったまま1ヵ月が過ぎてしまいました。なんともったいない日々なのでしょう。早く事態が収束し、保育園、学校が再開されるよう願うばかりです。今、世間では経済問題が取り沙汰されておりますが、新聞によりますと、それと同時に在宅勤務になり一日中家族が一緒にいることで摩擦が起き、DV・虐待が起き始めているとか… どうかどうか、世の子ども達の心に暗い影を落とすことにないように願っています。

今、私たち大人一人ひとりにできることは何かを考えて過ごしたいと思います。例えば敵は人間ではなくウイルスであることを認識し、医療従事者や在宅勤務ができずに他者のために働く人たちへ感謝するとともに、コロナウイルスに感染してしまった方々を思いやり、生還することを祈りたいと思います。

園長 原田京子

2020年4月 のんなだより🌸

桜の花が満開になりました。子どもたちが毎日のように散歩に出ている神田川沿いが一番はなやかになる季節です。まだほんの蕾のころ、太い幹から直接咲く花がかわいくて、子どもたちと一緒に見つけては喜んでおりました。その後に、太い幹から直接花がつく木は老木だと知ったのです。するとすぐ次の日に雪が降りました。3月末に東京で雪が積もるとは… けなげに咲く花をいとおしく思ったものです。

今年は卒園時期に桜が満開となりました。のんな保育園でも5名が巣立ちました。のんなでの生活経験が子ども達の幸せに繋がりますように願います。子どもは愛され、幸せになるために生まれてきたのです。2020年度の初めにスタッフ一同、これを心に刻み保育に臨みます。

子どもが愛されていると感じる時はどんなとき? 大人にどんな対応をされると心が満たされる? 大人同士が丁寧な言葉、振る舞いをしているのを見ることで何を感じる? 周りから大切にされることで、自分も他者も大切だと気づくのだと思っています。

のんなでは表現活動の一つとして、アート活動をしています。良い先生に恵まれ、子どもたちは目をキラキラさせながら取り組みます。決して上手になるために描くのではありません。自分の心、気持ちを素直に表現してもよいのだと思うことが目的です。自分の良さを知り、また、他者の良さも認めることができるようになってほしいのです。

園長 原田京子

2020年3月 のんなだより🎨

3月は春一番が吹き、中旬には桜の花が咲くと言われています。散歩に出ると若葉の息吹を感じ、春の自然を楽しみ始めました。とはいえ、周りでは新型コロナウィルス感染症が広がりつつあったり、この時期特有の花粉症(乳幼児でもあります)が流行りはじめたりで不安です。園としては、園内や玩具の清掃・消毒(アルコールで拭く)をしたり、子ども達の手をまめに洗うことに力を入れて参ります。

子ども達は2月4日に造形作家の浅羽聡美先生とのワークショップを経験しました。これは、子どもの行為にとことん寄り添うもので、部屋の床、周りを絵の具がたれてもOKなように養生することにはじまり、筆、ローラー、フライ返し、画用紙、ほか用具を準備しているときから、子ども達は少しずつ近付き用具を手にしながら、いつの間にかアーティストになっていました。聡美先生と初めて会った子がほとんどですのに、全く気にせずに当たり前のように近付き、用具に触れ、テーブルや床にペインティングをし、画用紙を渡しても捨てて黙々と個々の活動に集中します。聡美先生は笑顔で寄り添い、ほとんど言葉を発しません。子ども達の行動を見て用具をそばに置いたり、絵の具を足したり、使っていない物をどかしたりすると、子ども達は生き生きとした表情で自信たっぷりに描き、0才児が自分で“やめる”と決め、他の遊びに移って行き、また戻って来たりしていました。

普段私たちはつい「そうしたい?じゃこれでどうぞ!」「それをするとスベるからここで描きましょうね」等々、余分な言葉を発し、子ども達の判断、やりたい気持ちや集中を邪魔していることに気づきます。聡美先生が子ども達を無条件に受け入れているのが分かりました。午睡後にまた当たり前のようにアートコーナーに行き、ペインティングが始まりました。午前中の活動になかった黒の絵の具が加えられていると、0才児の一人がそれに気づき、床へ絵の具をポトポト落としながらその容器を私の所へ持って来たではありませんか。私は、ア~床が…と思いながらも、午前中になかった色があったことを私に知らせに来たのだと分かったので、「あら!黒もあったのね」と言うと、彼女はニッコリ! またポトポトこぼしながら戻って行ったのです。もし私が「絵の具はアートコーナーでやろうね!」と言ったら、感受性の強いその子は「ちがう!あなたに教えてあげたのよ!」と泣いて怒ったにちがいないのです。この一日の振り返りの中で、感動体験の一つでした。自分が興味を示したことを自分の意思で始め、自分の意志で終わりを決め、過ごすことで心が満たされ、一日の生活(食事、排泄、午睡)も大人が特に口うるさく言わなくても、いや言わない方がスムーズにいったのでした。普段、いかに大人が子どもに“こうしてほしい”と思いながら、大人の都合に合わせたいと願っているかが分かりました。

この一日の様子を親御さんに写真でお届けしたところ、皆様からそれぞれコメントを頂きました。その中のお一人のコメントです(ご本人の了解を得ております)。

“昨日のアートの時間のお写真を見せてもらいました。子どもたちのお顔がキラキラしていて、集中して取り組んでいました。きっと脳内ネットワークが新しい刺激をたくさん受けていたに違いありません。面白そうな様子、ワクワクする気持ちが伝わってきました”

今、保育の質が問われています。その一つとして、子ども達に何かを教え、覚えさせることよりも、子ども達の考え、想い、したいことを私たち大人が邪魔せず、寄り添い、お手伝いすることで自信を持ってもらい、心満たされることで自分から色々なことに挑戦し、学ぶことが楽しくてしかたがない…という風になってもらえたらと願っています。またこれが育ちと言われるものだと思うのです。それには私たち大人が、もっともっと子ども達の気持ちを理解し、余計な言葉を発せず、暖かい心で包めることが求められています。それは非常に難しいことですが、追求し続けることが大事だとスタッフ一同思っています。

4月からは、浅羽聡美先生のワークショップを月一回開催して頂ける予定です。

園長 原田京子

2020年2月4日 アートの時間

浅羽聡美先生を招いて、アートの時間を楽しみました。アートの時間の様子は保育園の「表現者たち」展facebookページでも紹介されています。

2020年2月 のんなだより🐟🌿

今年は暖冬ですが、2月は一年中で一番寒い月と言われています。陽ざしは強くなりましたが、風が冷たいので寒さがきびしく感じるからでしょうか。寒い中にも水温む月でもあり、春のおとずれを感じ少しウキウキする月でもあります。

お正月に子どもたちが風で熱を出したり胃腸炎になったりとご報告頂きました。親御様方、お正月にご苦労なさったのですね。子どもたちが直る頃、看病疲れの親御様にうつってしまったようです。私自身の子育て時を思い出し、親御様方がお気の毒で、またいとおしく思いました。そんな時は家事を後まわしにして、どうぞお子だけのんな保育園へ連れて来て下さい。

今、コロナウィルスによる新型肺炎が拡大し、日本でも発症しており心配です。これには特効薬がないそうで、個人の免疫力を高めておくことが大切だとのこと。それにはお医者さん曰く、暖かくして栄養、水分、睡眠をとること、特に質の良い睡眠をとって下さいとのこと。ごく当たり前のことなのですね。しばらくは人が集まり混雑する所へ行くことはなるべく控えた方がよいようです。のんなでもお子様一人ひとりの体調にあわせて園外に出るのを短縮したり、室内あそびにしたり調節しております。また、まだまだ感染症が流行る時期ですので換気に気をつけたり、玩具を洗ったり拭いたり、床を何度も拭くなど、気をつけて参ります。

免疫アップのための午睡は、0才児はまだおんぶ、抱っこでしか寝つかない子がほとんどですが、はじめから布団に寝る子も増え、また睡眠時間も延びて来ているので、日々の変化を親御さんにお知らせして共に喜び合っています。布団に自分から眠れるようになると、睡眠時間も長くなり、家に帰ってからの機嫌もよくなり、親御さんとの時間が楽しく過ごせるので、安定した生活リズムが出来るようです。

みかんグループ(1才児)のお兄ちゃん達が絵の具、クレヨンを用いてアーティストになり切っていると、きんかんグループ(0才児)が筆を横取りしたり、描いている絵をスルリと持って行くので、お兄ちゃんは柵で囲った個室?に逃げて制作に没頭します。きんかんグループの子達は柵に群がり、終わるまで観ています。そして終わると、お兄ちゃん達がやったように筆で机をたたいてみたり、紙を出してお兄ちゃんのマネのようなことをしています。お兄ちゃん達から沢山の刺激をもらっているのです。また、みかんグループのお兄ちゃん達は遊びをきんかんグループに邪魔されると、「ヤメテ、アッチニイッテ!!」と悲鳴をあげたりしますが、きんかんちゃんが泣いていると、「イイコ、イイコ」と頭をなでたり、悲しそうな顔をしてスタッフに知らせに来るなど、のんながファミリーらしくなって来ています。

園長 原田京子

2020年1月 のんなだより🎍

穏やかな三が日でした。元日の朝のTVで富士山からの御来光が映し出され、素晴らしかったので思わず手を合わせ、のんなに集うお子様達とご家族、スタッフの健康と幸せをお願いしてしまいました。

人生で一番発達の速い月令の乳児期に、10日間一日中ご一緒していかがでしたでしょうか。きっと日々の発見に驚かれたり、ご家族で喜ばれたり、それはそれは楽しいお正月休みだったかと存じます。

先月12月15日頃には、毎日見ていた神田川沿いの桜の木から葉が落ちてなくなりました。それでも例年に比べると遅くまで葉をつけていましたが、少し寂しさを感じました。近づいてよく見ると、春に鼻を咲かせるべく硬いつぼみが枝にビッシリついているではありませんか。自然の強さとありがたさを感じました。と同時に私達も厳しさを乗り越え次に進む強さを当たり前に持ちたい、お子様達にもそうあってほしいと思ったのです。

このところよくご父母様方から、お子様がのんなに来るようになって良くなった(落ちついた、絵本に集中するようになった、素直になった、ひとの話を聴くようになった等)の言葉を頂きます。それは私達にとって喜ばしく、最高に嬉しいことです。そして、前に読んだことのある記事を思い出します。

“猿はグループで生活するが、そのグループの大きさと脳の高次機能をつかさどる大脳皮質の容積の関係を調査した人類学者によると、グループが大きい方が大脳皮質の容積も大きくなる”、また“人間の文化を発達させてきた一番の要因は集団を作ったことで、グループの中で自分を守る、主張する、配慮することによって脳も工夫して情報処理をし発達する”というものです。

お子様達が意のままになるご家族と生活しているより、保育園に来て何人かに触れ刺激を受けることで、元々賢いお子様達の変化は速く、また自分の変化を嬉しく思っているようにみえます。どう変化(進化)するのかのベースになるのは、人的環境(のんなのスタッフ)だと思っています。広い心でお子様達の心を受け止め、寄り添う能力を持ちたいと願っています。この一年、より優しい心が授かるよう努力して参ります。『のんなに子を託して良かった』と言って頂けるように。

親御様とのんなスタッフが手をたずさえ、子育てを楽しめるよう、本年もよろしくお願い申し上げます。

園長 原田京子