2021年12月 のんなだより🎄

ひんやりとした空気の中、真っ青な空を見上げると、陽射しをあびた、紅くなった桜の葉が、今にも散りそうにゆれています。その葉の先を見ると、来春咲かせるための桜のつぼみがしっかり出来ています。例年想うことですが、自然の素晴らしさを感じ、なぜか明るく前向きな気持ちになります。

朝夕は寒くなりましたが、日中は暖かく、長袖シャツで毎日散歩に出かけています。今、散歩に出て皆で仰向けに大の字になり、空を見上げるのがブームになっているようです。気持ちよさを感じているのでしょうか。今月は、暖かい厚手のジャケットが必要になりそうです。

一年の三分の二が過ぎ、子ども達はたくましく、そして落ち着いて、自分の意思をはっきり出し、好きな遊びに没頭することが多くなっています。一日に一度は粘土、お絵描きコーナーに座り、黙々と創作活動をしたり、教具コーナーでおはじき移しなど、一人で没頭することから、食事を並べてパーティごっこ、お医者さんごっこ、美容院ごっこ等々、レモン(2才児)さんがリードし、みかんさん、きんかんさんも参加します。そしてレモンさんがいなくても、みかんさんが中心になって楽しんでいる様子も見られるようになりました。

きんかんさん(9ヶ月児)は絵本を読んでもらうのが大好き。どんなに不機嫌でも集中します。離乳食をしっかり噛んでたくさん食べます。なくなると、「もっと食べたいよ~!」と大泣きします。大きく大きくなるのでしょうね。15ヶ月児は「お昼ごはん持ってくるね」と言うと、さらりと「ウン!」と言うので、「どうしようかな~持って来るのやめようか?」と言ってみると、「ウーン?」とけげんな顔で見るので、「持って来ますよ!」と言うと、ニヤッと笑い、「なに言ってるんだよ~」と言わんばかりの表情。食事を持ってくると、一目散に手を洗いに行くようになりました。

みかん(1才児)さんはまさに成長期(イヤイヤ期?)、きんかんちゃんのミルクの介助を手伝ったり、一緒にハイハイで遊んでくれたり、レモンさんの仲間に入ってちょっぴり背伸びし、言葉もたくさん獲得しています。でもそこはイヤイヤ期?意にそわなければ「イヤ!」と頑として聞きません。そんな時は「○○ちゃんはこうしたいの?」「ウン」「そう分かったよ。でも今できないから、これが終わったらやろうね。少し待ってくれる?」「ウン」と穏やかになってくれ、私が「ありがとう」と言うと待ってくれます。もし大人の意を通すために強く出ようものなら、絶対に許してくれません。こんなみかんさんを「かっこいい!」と思います。きちんと説明すると理解できるのですから…。

レモン(2才児)さんは散歩に出ると必ず「お土産!」と自然物を持って帰ったり、部屋で他児と群れずに黙々と創作活動をします。七五三のお祝いで経験したことを、のんなで再現あそび。スタッフ相手に髪をクルクル巻くようにとかしたり、洗濯バサミを髪いっぱいにつけたり、それを写真に撮る真似をしたり。1才児に「そうそう、そこはこれをつけてね!上手上手!」洗濯バサミの色をどこにつけるかを指定したりも。それがまるで大人のような口調なのです。1才児もそれに「ハイハイ!」というように従い楽しんでいます。何しろあこがれのレモンさんの言うことですので…。

それぞれ互いに刺激し合ってつむぐ人間関係とよりよい成長に、日々驚きと喜びを感じさせてもらっております。これがのんなの家庭的たて割り保育です。

園長 原田京子

2021年11月 のんなだより🌾

出勤の際、神田川沿いに散る色づいた落葉(きれいな物)を拾うのが、この時期のちょっとした楽しみです。登園した子たちの目につく所に置き、何かを感じたり、散歩の際の落葉探しも楽しみの一つに加えてもらえればとの想いです。今年はまだ紅く染まった葉を見つけていません。いつもの年より遅いような気がしますが、これからでしょうか。楽しみです。

今年も新米が届きました。いつも宇都宮の猪瀬さんという方から送っていただいており、今年は新米と一緒に稲穂も頂きました。子どもたちと一緒にもみ殻をむき、米粒を出してみて、お部屋に飾りました。

お家では食が細いという新入園児も、よく食べてくれるようになり、うれしい限りです。先日、おやつに混ぜご飯を作りました。2才児のために大きなおにぎりを出したところ、ペロリと食べてしまい、「もっと欲しい!」と言われました。スタッフは、「えっ!私の食事量より多いのに…」と驚いていましたが、お家に帰り、すぐに「何か食べたい」と、夕食前にまたおにぎりを食べたそうです。食欲の秋ですね。

きんかんさん(7ヶ月児)はのんなのアイドル、最近這い這いをし、つかまり立ちができるようになりました。まだ母乳と離乳食ですので、ミルク(冷凍母乳)を飲むときはお姉ちゃんたちが手伝ってくれるし、這い這いすると一緒に這い這いをして同じ目線で相手をしてくれるお兄ちゃん(2才児)や、バウンサーを動かしてくれたり泣いていると「いい子いい子」と撫でてくれるお兄ちゃん(14ヶ月児)もいます。その14ヶ月児のお兄ちゃんが先日具合が悪く、一日中おんぶに抱っこで過ごしたのですが、それを見ていた7ヶ月児が、“いつもと違う!”と感じた様子。その日は担当スタッフを目で追い凝視しますが、声を出しません。いつもは抱っこをせがんだり“早くミルク!”とばかりにもの凄く大きな声で泣くのですが、その日は一日中穏やかにしてくれました。「○○ちゃん、いい子にしてくれてありがとう。お兄ちゃん今日は辛いからごめんね」と言うと、ニッコリ笑ってくれるのです。何といじらしく、いとおしいのでしょう。その14ヶ月児は具合が悪いとき、一度も担当スタッフを離さなかったのに、体力が回復するにつれ、7ヶ月児が担当スタッフに抱かれていると、優しい眼差しで見ていたり、一緒にスタッフの膝に座り楽しそうにしている姿は、まるで兄弟です。その様子に、私たちは満たされた気持ちになったのでした。

※子どもの便秘について(内海裕美小児科医の記事より)

現在、子どもの便秘は珍しくありません。便秘は便が滞った、または便が出にくい状態で、放置しておくと食欲低下、不機嫌、腹痛など、日常生活にも影響があるようです。
便秘の経験がある方はお分かりかと思いますが、それはそれは辛いものです。週に2回以下の便の回数で、排便時に苦痛を伴ったり、便塊が出る場合は治療をした方がよいとのこと。母乳やミルクを飲んでいる子でも同じだそうです。原因は遺伝的要素や食事摂取量、内容によるものもあるそうですが、離乳食への移行、トイレトレーニング、学校での排便へのためらい、という3つのケースが多いと言われていることから、精神的要素が大きいようです。ためらわずにお医者さんにご相談ください。

園長 原田京子

2021年10月 のんなだより🍁

虫の鳴く音を聞きながら帰宅するようになりました。朝夕の寒暖差があったり、夜でも蒸し暑かったりと、日々子どもたちの体調が気になります。夏のプール遊びを満喫した子たちは今、初秋の自然探索に夢中です。おしろい花の種を摘んだり、どんぐり拾い、公園の花壇管理のおじさんからバラの花びらを沢山いただいたりと、この季節ならではの経験を楽しんでいます。先日栗拾いをした子が、イガのついた栗を「のんなの友達にも見せたい!」と箱に入れて持って来てくれました。皆こわごわ触ったり、手のひらにそっと置いてみたりと興味津々、くだものの絵本と照らし合わせてみる等、良い経験でした。自分が興味を持ったものをのんなの友達と共有したいと思ってくれるレモン(2才児)さんに感謝です。

7ヶ月児が腹這いするのを1、2才児が同じ目線で一緒に進みながら応援したり、13ヶ月児の歩行を手伝ってくれるお姉さんがいたりと、自分より幼い子を愛でる姿がたまらなく愛おしいです。そうは言ってもまだ1、2才児。赤ちゃん用のバウンサーが空くとこぞって乗ってみたり、スタッフが0才児を膝から降ろすといつの間にか1、2才児がちょこんと座ったり、抱っこを求める子がいるのも当然です。また自分の遊びをきんかん(0才児)ちゃんに邪魔されると容赦なく突き飛ばそうとしたり叩いたりします。そんなとき私たちは、「ごめんなさいね~。きんかんちゃんはまだわからないから、優しく言ってあげてね。それでも困ったら、『助けて!』と私たちを呼んでね。すぐ助けに行くから」とお願いしています。この交わりが、縦割り保育の素晴らしいところです。本当に少しずつですが、2才児の遊びを邪魔しないように脇で見ていたり、いなくなってから自分一人でトライしてみたりする0、1才児も見られるようになりました。そして2才児は、邪魔されそうになると代わりの玩具を0、1才児に渡して邪魔されないように工夫する子もいます。

人の能力は認知能力(学力テストで確かめられる、読解力や数的思考力など)と非認知能力(自己肯定感、自制心、協調性など)に分けられ、改定された保育指針の中でも、この非認知能力を育むことが強調されています。私は、非認知能力の中でも自己肯定感が人が生きる基盤になっていると思います。これなしには自分を大切に思い、自信を持つことも他者を大切に思うことも、意欲的に何かに取り組む力も育たないように思うのです。ですからどんな幼子にも大人が決めつけず、想いを聴いたり、争い事には互いの言い分の想いを代弁し、悪者を出さないように努力します。しかしスタッフも人間、突き飛ばしたり噛みついたり相手に傷を負わせる児には、大人の想いでつい力が入ってしまいます。すると子どもは叱られた気持ちになりますので、私たちは日々反省です。自分の大切なものを取られそうになったり叩かれたら、自己防衛の手段として突き飛ばしたり噛みついたりするのも、月令的に当然じゃないかしら。そもそも“~がいけない事”と定義づけているのは大人よね、大人が子どもを叱る必要があるのかしら、叱られるからやらないではなく、経験の中で自分で判断してほしいよね、…等々、日々の振り返りのタネが尽きません。

話は変わりますが、叱られるといえば思い出すことがあります。他の保育園での経験ですが、平素切れやすく攻撃的な3才女児が、ごっこ遊びでペットの犬の役しかしたがらず、他児がその役をしようとするたびに引っかき、噛みつき、傷を負わせてしまうほどでした。理由を聞くと、いつも怒るママがペットの犬には優しくするからペットを叩いた!そしたら「犬は喋れないから可哀そうでしょ!」と叱られる、とのことです。私のママなのにペットばかり可愛がり、私を愛してくれない!と思ってしまったようです。お母様は決して愛していないわけではないのでしょうけれど、「悪いことをしたら叱り、犬を叩いたら同じように叩いて躾する」とおっしゃいました。園では、「あなたが大好き」と大切に想っていることを言葉で、行動で伝えるようにしました。しばらくは「○○ちゃんより私の方が好き?」と確かめることが続きましたが、落ち着いて、ペット役を他児に譲れるまでになりました。しかし家ではますますひどく反抗していたようです。

ご家族にペットを迎え入れることは素敵なことですが、あくまでもお子様が1番、ペットは2番と、お子様にもペットにも伝わるようにしていただき、やがてご家族でペットを愛でることの豊かさを味わっていただきたいです。

園長 原田京子

2021年9月12日~9月19日 『はみ出す力展』

9月12日(日)~9月19日(日)、うらわ美術館で開催される『はみ出す力展 vol.3~図工・美術の授業展2021~』で、のんな保育園の取り組みが展示されます。詳細はこちらのページをご覧ください。

保育園の「表現者たち」展

2021年9月 のんなだより🦗

「ジージージー」とニイニイゼミが真夏を告げてから、「ミーンミーンミーン」と鳴くアブラゼミやミンミンゼミに変わってきて、時々「ホーシンツクツクジー」とツクツクボウシの声も聞かれるようになり、“夏も終盤になりますよ”と告げられているようです。とは言え、まだまだ残暑が厳しいのでしょうね。

日頃の探索活動をする中で、特に昆虫観察に興味を示す子が多いのんなの子たちに、Cちゃんのお兄ちゃん(5歳)から“かまきり”を頂きました。じっくり細かいところまで観れるのですからそれはそれは大喜び、毎日入れ代わり立ち代わり誰かが観ています。みかんさん(1才児)が私に図鑑の“かまきり”のページを開き、指をさし「ウーンウーン(これと同じだよ)」と教えてくれるのです。Cちゃんのお兄ちゃんは定期的にかまきりの餌になるバッタを持って来てくれて、休みの前の日には1匹多く持って来てくれる配慮もしてくださるのです。お兄ちゃんがかまきりの入った虫かごにバッタを入れると、かまきりは少しの間様子を見ていたかと思うと、バタバタ!という音と共にすばやく両手(足?)でバッタを掴み、頭から食べるのです。

「うわ!むごい!」と思いつつも、狩の鮮やかさと見事さに驚き感動しました。これが生きるということですものね。私たち人間もたくさんの命を頂いて生きていることを改めて実感したのでした。一緒に見ていた0、1才児は、目を丸くしてジーッと観ていましたが、2歳児の女児はスーッとその場を去りました。そしてだいぶ時間をおいて観に来たとき、まだ尻の方を食べているのを見て、また黙って去りました。次に来た時に「お食事終わったね」と一言。「そうね、足は硬いから食べないみたいよ」と言うと、「そうか~」と、かまきりが生きたバッタを食べたことに何かを感じ、ショックを受けたようでした。どう感じたのか知りたいとも思いましたが、分かるような気がして2人で黙っていました。その後、かまきりは3日ほど餌を食べなくなったと思ったら、脱皮していました。説明すると、「フーン脱皮して大きくなるのか…」と真面目な顔をしていました。

セミも2匹、虫かごに入れて観察しました。レモンさん(2才児)は動きの鈍い方を掴み、胸につけ、ブローチのようにして皆に見せていました。そして「足はギザギザだね。お腹はこんなになっているんだ」と細かく観察。すると12ヶ月のN君がふたを開け、上手に動くセミを掴みだすではありませんか。1才のEちゃんは最初は触るのを怖がっていたのですが、急に掴む努力を始めました。スタッフを相手にセミをかごから出してもらい、少しづつ近くまで手を伸ばしては引っ込め、何度も何度も繰り返し、やっと触れるようになり、ついに掴めるようになりました!その時の嬉しそうで自信に満ちた顔が穏やかでかわいかったです。その間小一時間、スタッフと2人で頑張りました。Eちゃんは普段から2才児の遊びについていけず悔し泣きをするほどですが、自分ができるようになるためにする努力は素敵です。“負けず嫌い”いいですね。羨ましいエネルギーです。

園長 原田京子

2021年8月 のんなだより🏅

ジージーと朝早くから鳴くセミの声を聞きながら、神田川沿いの桜の木の下を通り、“今日も暑い一日になるな~ さあ、プールの準備をしておこう!”と、この季節ならではの元気をもらいます。セミの抜け殻を拾い、テーブルの上に置いておくと、恐る恐る触れる子、手に取りじっくり眺め「これが手、頭」と解説する子、ブローチのように胸につける子、全員が色々な関心の示し方を見せてくれます。皆が優しく触れても、手や足が取れてしまうと、「グランマ、これ死んじゃったからお墓つくろう」と2歳児のかわいい発言もありました。

今年度は毎月2人ぐらいずつ平均的に入園してくれ、現在定員をほぼ満たしたので、子どもたちが園に慣れ、とても落ち着いてきています。例年、新入園児が泣ていると在園児が玩具を持ちより、なんとか泣き止むよう気遣ってくれるのですが、先日ほほえましい光景を目にしました。一時保育のT君(2歳8ヶ月)が玩具で遊ぶのを見ていたN君(10ヶ月)が、ハイハイで近づいて自分の好きな電車を「ハイ!」と渡し、満面の笑みで私のところに来て抱っこを求め、はい上がり、膝の上でピョンピョン。「T君に電車あげたの?N君は優しいのね~」と言って抱きしめると、T君を指さしたのです。そして、日ごろN君をかわいがっているEちゃん(1歳10ヶ月)も来て、一緒に抱き合い喜び合いました。EちゃんもN君の行動を見ていたのですね。EちゃんがN君を見る目が、まるで大人が幼子を愛おしむような顔でした。スタッフにとっても幸せな時間でした。縦割り保育で育つ社会性ですね。

毎月おこなっているアートの日の振り返りは、私たちスタッフの研修と位置付けています。その中で、アート(自己表現)において子どもの作品に「すごいね」「きれいだね」というような、大人から見た“良い”判断を与える声掛けはどうか?という意見が出たので、皆で掘り下げてほしいと提案したところ、スタッフがまとめてくれました。

(A)「色がきれい」だと感じた
   →「きれいだね」
   →きれいな色を作ることが正しい、という世界

(B)「色がきれい」だと感じた
   →「みどりだね」「混ざったね」「黒くなったね」
   →その場にあるありのままを見つめ、考え、受け入れられる世界

アートの時間において、子どもたちに(A)の世界ではなく(B)の世界を感じてもらいたい、大人の目を気にすることなく自由に混沌の中を楽しんでもらいたい、また大人の声掛け一つで子供の生きる世界を変えてしまう可能性に注意したい、と思います。「いい色だね」と言いたくなったとき、「私、この色好きよ」というように、自分の意見として伝えるのがいいと思います。世の中の固定観念を与えるような声掛けは、アートの時間だけでなく、普段の保育でも与えすぎないようにしたいです。もちろん生活面では、褒めたり励ましたり喜び合う場面は常にありますが、あくまでも与えすぎないということです。褒められるために何かをする子であってほしくないと思います。

園長 原田京子

2021年7月 のんなだより🐛

梅雨の合間をぬって毎日、大好きな散歩(探索活動)に出ることができました。まったく外に出られなかった日はほとんどなかったように思います。幸い、狭い狭い中庭と屋根付き屋外があるので、紫陽花をつんで部屋に飾ったり、シャボン玉をとばして雨の日も楽しめました。

5月に子ども達と一緒にきんかんを採って作ったジャムを色々な料理に使うと好評だったので、次を考えていたところ、1才3ヶ月児が帰宅中に熟した梅を拾い、匂いを嗅ぎながらご機嫌で帰ったとのニュースを伺い、子ども達と一緒に梅シロップを作ってみました。その日以来毎日のように氷砂糖がどれくらい溶けているか観察し、夏バテ防止に梅ジュースを飲むのを楽しみにしています。

子ども達は探求熱心。いつも行っている場所でも、季節ごと、日々出会う物や虫も異なるので、毎日飽きることなく、一人ひとりがそれぞれ観察に集中します。私たちは2才までの児には、きちんと並んで歩行することよりも周りや自然に興味を持ち、縛られない自分の想いで探索活動をしてほしいとの願いから、なるべくお約束ごとをしないようにしています(お約束という名の下にあれがダメ、これがダメと押し付けてしまえばスタッフは楽でしょうが…)。かといって一番大切なこととして、命の安全が保たれなければなりません。スタッフがお児達と一緒に発見を喜んだり、探したりすることに没頭しすぎると、安全が守られないことがあります。先日、2才児の一人が虫を追って20メートル先に行ってしまい、ヒヤリとしたと反省会をしました。のんなの保育(一斉に同じことをするのではなく、一人ひとりの児が自分の考えで行動(活動)できる児になってほしい)を実行するには、子ども達に求めるのではなく、スタッフの力を高めなければできないことです。

園外保育は私たちにとって一番緊張する保育です。自然災害だけでなく、事故が起きない保証は何もないのですから。日々の振り返りで、子ども達への制限を少なく安全を守るためには、私たちスタッフが何をすればよいかを毎日の保育で振り返り、一人ひとりの児の想いを理解し、寄り添えるよう研鑽することに尽きると思っています。

園長 原田京子

2021年6月17日 アートの日

のんな保育園で毎月行われている、アートの日の模様です。

2021年6月 のんなだより🌂️

すっかり雨季の様相、「雨降ってるねえ、お散歩行けないねえ」と窓の下から外を見るレモンさん(2才児)、「そうね、じゃあおとなり(屋根のある屋外)でシャボン玉しようか?」「うんやる!やる!」と話していると、みかんさん(1才児)が靴下と帽子が欲しい!とばかりに動き出し、さっさと外出準備。雨の晴れ間に公園に行くと、いつもは滑り台や砂場に直行するのに、水たまりを見つけてドタドタ入り、自分はもちろん周りにいる友達の服にまでドロをはねる始末。特にスタッフが驚いたのが、人見知りが強く今まで外では自分を出せなかった子が、一番積極的で大胆になり、誰よりも楽しんでいた事でした。ドロ水遊びは子どもを開放してくれるのですね。帰園すると、靴もズボンもびっしょり!私に「ねえグランマ見て!」とばかりにドロだらけの靴を見せ、楽しかったことを伝えようとしています。2才児は「○○ちゃんがバシャ!とやったんだよ~」とドロがはねたズボンを見せて笑顔です。友達が楽しんでいたことを共有している様子。

 この頃、レモンさん(2才児)同士、物の取り合いでよく争います。自分が友達と別の遊びをしているときに友達の遊びが目に入った瞬間、それが欲しくなって横取りします。取られた子は驚き、大泣きし、悔しがります。「いいな~、自分もやってみたい!」と思うことは成長するために大切なことです。私達もこの想いを受け止め応えたいと願っています。しかし、そのために欲しい物を取っていい訳ではなく、相手がいることですので認める訳にはいきません。ただ大人の思うそれとは異なり、1、2才児に「いけません!」と叱ることではないと考えます。「叱られるからやらない」ではなく、自分の体験で学び、自分の考えを成長させることを望んでいます。そんなとき私たちは代わりの物を探す手伝いをしたり、取られた子が悲しんでいることを知らせます。そして取られた子に寄り添い、「今『ごめんね』と返してくれると思うよ」と。すると、取った子は悪いことをしたのはわかっているので、別のものを持って来て許してもらおうとするのです。「いいよ!」と許されることも「イヤ!」と断られることもあります。すると、少し遊んだあとに「ハイ!」と返しに来ます。そんなとき、なんと取られた子が「ありがとう!」と喜びます。すると取った子が「どういたしまして」ですって。取り合ったものを置き去りにし、すぐに二人で別の遊びが始まります。取ったり取られたりは一方的なものではなく、誰もが経験するお互い様。この時期に許しあう寛容さが育っているのです。それは生きる際にもっとも大切なものの一つだと考えます。これからしばらくこのトラブルは続きそうです。でも必ず落ち着くときがやってきます。昨年も、一昨年もそうでした。

5月からきんかんさん(0才児)が入園しました。すると1才児がよちよち近づき、玩具を持って来てあやしてくれたり、自分の額を顔に近づけ、お姉さんぶりを発揮するのです。すると0才児も笑顔で応え、子ども同士すぐに慣れ、のんなでの生活にも早く慣れてくれました。今では部屋中を自由にハイハイし、好みの玩具をいじったり、好きな子にしがみついたりしています。日々の成長の変化を1、2才児と共に楽しんでおります。そんな中、1、2才児が急に甘えん坊になり、スタッフに抱っこを求めることが多くなりました。そうですよね、0才児がいると1、2才児はお兄ちゃん、お姉ちゃん扱いされがちですが、まだ2才児ですもの。1才児、2才児の気持ちも大切に受け止めたいです。

園長 原田京子

2021年5月 のんなだより🎏

子ども達が舞い散る桜吹雪の花びらをつかもうと小躍りしていたのがついこの間、今は濃い緑の葉をつけ、散歩時に強い日差しから守ってくれています。

4月からのんな保育園に入った新入園児も1か月がたち、ずいぶん慣れて来てくれました。親御さんとの別れに大泣きされると、心配でお辛い思いをなさったことでしょう。別れ際にひと泣きし、ドアが閉まるとすぐに遊び始め笑顔を見せてくれる児がほとんどになりました。同時に3月に巣立った子たちは新しい保育園でどうしているかしら?Uちゃんはすぐに慣れ、すでに主になったかな?Nちゃんはお友達に噛みついていないといいな~、Jちゃんは寝ぐずりしていないかしら?Tちゃん昼食の量は足りているかしら?等々、想いがめぐります。子ども達は大人が想うより新しい環境に慣れてくれているのでしょうね。

1才児(みかんグループ)の新入園児は、初めて親御さんから離れ、辛い一か月だったと思います。寝ぐずりはしますが、幸い食欲があり、昼食時は毎日完食。笑顔で食べてくれたり、気に入った玩具で遊び、声をあげて笑っている姿を見て、スタッフ同士目を合わせて喜び合っています。

2才児(れもんグループ)の新入園児は、3月まで他の保育園に通っていた子なので、すぐに慣れてくれて、休日に「のんな保育園に行く!」と玄関に出る子もいるとのこと。日中はもうすでに長くのんな保育園に居るように遊んでいます。

在園児は「Uちゃん、Nちゃん(巣立った子)今日は来るかな~」と言いながらも新入園児を受け入れ、玩具の使い方を教えたり、ままごとに誘い仲良く喧嘩もしながら遊んでいます。

今は気候が良いので毎日園外に出て散策しております。虫に興味のある子はミミズ、ダンゴ虫、クモなどを追いかけて歓声をあげたり、植物に興味のある子は珍しい花や実を見つけると目を輝かせます。そしてその感動を、留守番している私に話してくれます。

今年度は子ども達の興味、関心を大切にし、植物、昆虫などの探索活動をドキュメンテーション形式にまとめてみることに致しました。これからどうなっていくのか、一緒に楽しみにいたしましょう。

園長 原田京子

2021年4月 のんなだより🌸

先月の10日ごろに、神田川沿いの桜の木のどの枝よりも先に、幹に直接咲いた花を「かわいい!」と愛でておりました。すると、直接幹に花をつける気は老木になっている、と聞きました。それを知ると、よりいとおしく思えたのです。と同時に、神田川沿いの桜の木、このままでいいの?きっと木の手入れをしているのでしょうけど、次世代も憩えるように新しい木を植えたりしなくていいのかしら?等と思いながら、毎日通勤時に眺めております。

毎年この時期、寂しい別れと嬉しい出会いがあります。この一年の成長、変化は目ざましく、私たちを驚かせてくれました。のんなを巣立った児たちが、次に行ったところで自分のやりたい事、遊び(遊びは学びの原点)が尊重され、伸びやかに育ちますよう願っております。

こんなことがありました。2才児の連絡ノートより(親御さんの許可を取ってあります)
「お家でカウンターに並んだ朝食のお皿を一つ一つテーブルに運んでいましたが、最後にお茶のコップが残ってしまい、どうするか見ていたら、『パパ、お茶もってきて。○○ちゃんこぼしちゃうから』と言って自分は席についたのです。自分にできないことを認めて、それを他人にお願いしていることに感心しました。今までなら無理やりコップを運ぼうとして、こぼしてしまって泣くという流れでしたので、成長しました」
まさにその通り、すごく成長しましたよね。ここまで来るのは、ご両親が根気よくお子さんに寄り添い、失敗を責めることなく、見守って下さったからだと思います…

昨日巣立ったお友達の代わりに新入園児3名を加えて、今日から2021年度の始まりです。今年も「あなたはどうしたいの?」からはじまり、一人ひとりの興味、関心を持つ事柄に一緒に取り組み、より深められるよう、スタッフ一同学び合いたいと思います。また、お子様たちを責めることなく、自己肯定感を持ってもらい、自信をもって自分の意思表示ができるよう寄り添いたいものです。どうぞお力を貸して下さいませ。お子様たちの成長を楽しみましょう。

園長 原田京子

2021年3月 のんなだより🎎

寒暖差の激しい2月でした。水温む日もあり、薄着で散歩に出かけられる日もありましたが、熱は出さないまでも、子ども達は鼻水が止まらず、苦労しました。子どもに熱を出されると昔から親御さんの心配は底知れないものですが、今コロナ禍の中、感染症?風邪?突発性発疹?と心を痛めることでしょう。幸い、のんなでは熱を出す児が少なく、欠席する児が少なかったことに感謝です。

2020年度は今月で終了です。3月いっぱいでのんな保育園を巣立つお友達もいます。入園当時、抱っこ、おんぶしていないと泣き続けていた0才の児が這うようになり、よちよち歩きができるようになり、部屋中を移動し、色々なものに興味を示すようになりました。1つ上のお姉さんのままごとに加わり真似をしたり、テーブルをひっかき回してお姉さんに叱られたり…。大人の言うことをずいずいぶん理解し、笑顔で応えたり、イヤ!と拒否したりします。

入園当時は這ったりよちよち歩きだった1才の児が、安定した走りを見せたり、両足跳びができるようになり、対大人の遊びが主でしたのに一人でじっくり集中したり、友達との遊びを求めるようになりました。特に言葉の発達は目ざましく、「マンマ」「イヤイヤ」くらいでしたのに「パパお仕事行っちゃった!」「もー○○ちゃんキライ!」「○○ちゃん、今日はお休みだよー」「ごちそうさまー おいしかったぁー」「グランマ(私のこと)メガネかけてないよ!」「ネェーこれもしかして○○?」「大丈夫!泣かないで!」等々、私達が驚くほどの言葉の数々。0才児が泣いていると、ぬいぐるみを持って行ったり絵本を読み聞かせたりするのです。しかし自分の遊びを邪魔されそうになると、0才児でも容赦なく押したり叩いたりしてしまいます。そして、成長期(イヤイヤ期)に突入したかしら?と思うほど「イヤダ!イヤダ!」が目立ちます。

子どもは「マンマ」の次に「イヤ!」を覚えます。0才児なら「あら、“イヤ”なんて言えるようになったのね」と可愛さを喜びますが、1、2才児の「イヤイヤ」は主張が強く、親御さんたちは手こずってしまいますね。「イヤだ!」と言うことは生きる上で大切なことで、自分の考え、想いを持ち、それを表現することなので、“成長したね”と喜ぶべきなのは分かっていても、忙しいときや危険が伴うことの場合は「なんでそんな事するの!」と叱りたくなります。私たちも何度も失敗しているのですが、まだ“生”を受けて2年足らずの児にクドクド理屈を言い、「もう~してはいけませんよ」と言っても、それで良くなることはなかったように思います。良い悪いより先に、「嫌だったね、○○ちゃん痛かったよ、かわいそう。A子ちゃんが叩くとママは悲しいよ」ぐらいにした方が、子どもの心を静めるようです。

親御様方は、「我がままになったり意地悪になったら困る」とおっしゃいます。でも自分を理解してくれるより先に叱られると、感情的に素直になれずパニック状態になり、まるで思春期の中学生のようだと思うことがよくあります。自分が良くも悪くもまず理解されると、安定して他を考え思いやれる児に育つのだと思います。こんなことがありました。3才になったなったのんな一番のお兄さんが、複雑に線路を組み合わせて楽しんでおりました。スタッフは他児に邪魔されないようバリケードを作り、その間その児の遊びを保障しました。するとその場を離れた際、他児が入って崩そうとしても、「いいよ~また作るから」と優しい笑顔で次の遊びへ移ったのです。

のんな保育園を巣立つ児たちが、「イヤ!」を受け止めてくれる大人にたくさん巡り合えますように願います。

園長 原田京子

2021年2月 のんなだより❄

先日、思いがけず雪が降りました。年に1度や2度、東京でも真っ白に雪化粧した街を子ども達に見せたいものです(雪深い北国でご苦労している方々には申し訳ないことですが)。先日降る雪を見て、子ども達は驚いてジィーッと見つめる児、興奮し小躍りして喜ぶ児、それぞれの表現で自然の不思議を感じていました。スタッフが自転車に積もった雪を器に入れて、皆でさわってみました。子ども達が触れるとすぐに氷になり、口々にチィメタイ(冷たい)、チィメタイと言いながら嬉しそうでした。それを聞いて自分の幼児期を思い出します。雪が降るとなぜかウキウキ、寒さや冷たさを忘れ、ただ外に出て走りまわり、積もった雪を舐めてみたり、まるめて雪を投げてみたり、雪に陽が当たるとまぶしく光る雪の美しさにうっとりしたこと等が脳裏に焼き付いています。外から帰ると母が手を握り、温めてくれるのです。ぬるま湯を用意して手や足を入れ、「こんな時は、あったかいお湯だと痛くなるのよ」と言い、笑顔で着替えさせてくれたことを思い出すのです。いつもは外遊びで服を汚すと叱られていたのに…。雪の日は特別でした。2月は一年の中で一番寒い月と言われているので、もう一度ぐらい、雪が降るかも知れないと期待してしまいます。また2月は水温む月でもあり、春の兆しがみえる心躍る月でもあります。神田川沿いの桜の枝の先が少しふくらみかけ、春に花を咲かせる準備をしているのを見て、いとおしさを感じます。

のんなっ子たちは、先月鼻水をたらす児が多かったのですが、熱も出さず、元気に登園してくれました。そして1月に入園した2名もすっかり慣れてくれました。0才児(きんかんさん)は、おんぶ、バギーで毎日短時間でも冬の空気を感じ、外気浴をしています。部屋では這い這いしたり、つかまり立ち、よちよち歩きを楽しんでいます。1、2歩あるき出すと、スタッフの顔を見て“ドヤ顔”。そして褒められると何度も何度もトライするのです。その努力に感動します。この世に生を受けてまだ1年もたっていないのに…。1才児(みかんさん)に混じり、ままごとの中で食事作り、それを食べる真似をし口をパクパクして得意顔です。ときどき邪魔にされて追い出されてもめげません。全員、本当の食欲はそれ以上で、毎日すべてに意欲的です。

1才児(きんかんさん)は、戸外ではボール蹴り、凧あげ、追いかけっこで走りまわり、満足して帰ってくると室内あそびに没頭します。それぞれ好きな所で絵本を広げていたり、教具コーナーで穴通しやストロー落としに興じています。こんなことがありました。プラステン(5色のリングを重ねて色遊びを楽しむ)をテーブルから一つ一つ落としている新入園児を見て、女児が「投げないの」と言いながら拾ってテーブルに戻すのですが、その児は次々に落とし続けます。するとその手を握り、「アークシュ(握手)アークシュ!投げません!」と教えているのです。それでもその児は全部落とします。すると“新人だから仕方ないか…”というようにその場を去りました。そしていつもの仲良し友達のところへ行って遊びだし、玩具の取り合いになり、相手の手にガブリ!と噛みつき、腕に歯形ができてしまいました。スタッフがあわてて冷やしていると、「だいじょうぶ?」と噛みついた児。「だいじょうぶだよ~」「ごめんネー」「いいよー」(えっ!ぜんぜん大丈夫じゃありませんよ…)とスタッフが思っていると、取り合った玩具は放り出され、二人で次の遊びに移っているのです。展開の早さについていけないスタッフでした。新人には許容できるけど、同等の友には厳しいのです。トラブルは成長の糧になるものですが、それにしても…💦

2才児(レモンさん)は優しいお兄ちゃん。きんかんちゃんがよちよち歩きをできると、スタッフと一緒に手を叩いて褒めてくれたり、みかんちゃん達がけんかをしていると、スタッフに教えてくれる保育士助手をしたり。食事時には箸の使い方を練習中。皆よりも難しい絵本を読みますが、「ボクは怖いお話は嫌なんだ」と、どこまでも優しい! スタッフと一緒にYES、NOゲームを楽しんだり、「ボクは○○出来ないんだよね~」「大丈夫、こうすればだんだん出来るようになると思うよ。早くできなくてもいいんじゃない?」「う~ん、ボクやりたいんだよね~」「そう、やりたいと思うことが素敵よ」と話したり、午睡に入る前の至福のひとときを大切にしています。

園長 原田京子

2021年1月 のんなだより🗻

明けましておめでとうございます。
昨年同様、TVで初日の出(ダイヤモンド富士)に手を合わせ、コロナ感染症の終息と園児たちの心身の健康を願いました。晴天に恵まれ、すばらしいご来光を拝むことができました。

先月1ヶ月間だけ在籍していた4ヶ月の男児がおりました。その児に1才児の女児が絵本を読んだり、ごはん(ままごと)を持って来てくれたりして可愛がってくれました。それを見ていたのか8か月児、9ヶ月児が近づき、いおとしそうに優しく触れようとすると、4ヶ月児はそれに応えるようにしっかり見て嬉しそうにするのです。何とすばらしい光景でしょう。4ヶ月児とのお別れの日のこと、「そろそろミルクの時間ね」と言った後に4ヶ月児がぐずりはじめると、離れた所で遊んでいた1才児2名が近づき、「すぐにミルク来るからね。ほらあっちから…」とあやしてくれるのです。もちろん4ヶ月児はお構いなくミルクが来るまで泣き続けましたが、ミルクが来るとピタリと泣きやんで飲み始めると、2人ともすーっと元の遊びに戻ったのです。のんな保育園は少人数制で縦割り保育ですので、こういう関係性が生まれやすいのでしょう。毎日心温まる出来事に感動しながらの生活です。

とはいえ、1才児の発達期(イヤイヤ期)では日々強めのコミュニケーション(大人はけんかという)が繰り広げられています。何人かの保護者様から、この時期をどう乗り切ったらよいのか、お悩みの相談を頂いております。園にいる時よりもお家では甘えがありますので、きっとお父様お母様に強めのコミュニケーションを挑むことが多いのでしょうね。毎日園で起こる“けんか”を取り上げてみましょう。東京学芸大の松井智子先生の談です。

子どもにとっての“けんか”の意義とは?
色々な経験を通して自分の感情・思考に気づき、他者とは異なるものを持っていることを理解する。
相手が自分に何かを要求していて、自分も相手に関心がある場合、相手の心の動きを捉えようとする

仲良く遊ぶだけでは心の発達は促せない?
子ども同士が共感し合っている場面も心の発達は促されるが、自分の意見が通らない、思うようにならない、ネガティブな感情をどうしたら解消できるのか、子ども自身が考えるチャンスとなる。発達心理学的には子ども同士のけんかをすぐに止める必要はなく、むしろ心の発達を促し社会性を養う絶好のチャンス、とのことです。

自他の区別があいまいな1才児は、欲しいと思うと誰が使っていても取ってしまいますし、取られた方は大泣きして悔しがります。そんな時、けんかを早く収めようとするより、お互いの心の理解や交渉力につながるよう、気持ちを代弁して、納得できる妥協案を見つけられるようサポートすることがいいようです。分かっているようで分かっていない、分かっていないようで分かっている、イヤイヤ期をそういうお年頃だと受け止め、子育てを楽しませて頂きましょう。

園長 原田京子