2022年12月 のんなだより🦌

師走に入り、寒さが増してきました。色づいた落葉を踏みながら神田川沿いに住宅地へ入ると、柵にうすむらさきの朝顔の花が10輪咲いていました。この寒さのなか楚々として咲く花に愛おしさを感じ、毎日開く花の数をかぞえながら通り過ぎていると、先月16日までは咲いていましたが、17日の朝にはすべてしぼんでしまいました。次の日にはきれいに整理され、柵はさっぱりとしていました。花の主も、最後の一輪の花が命をまっとうするまで愛でていたのだ、と嬉しくなりました。通りには柿の実が熟して落ちていて、隣の家の垣根から千両の赤い実が顔を出し、“もう冬ですよ!”とばかりに揺れています。駅から5分ほどの間に、秋・夏・秋・冬の自然を観ながらの出勤です。暖かかったり寒かったり、その差が大きく、自然の植物さえまどわされているようです。

11月に1才児(みかんグループ)に男女一人ずつ、0才児(きんかんグループ)に女児が入園しました。在園児はきんかんちゃん達に接する機会が多くなり、玩具の取り合いや座る場所の取り合いで闘争心旺盛なお兄ちゃん達も、きんかんちゃん達には代わる代わる来ては目を細めて玩具を貸してくれたり、絵本を読み聞かせてくれたりしています。赤ちゃんに髪を掴まれてもじっとされるがままに耐えている姿は、この一年の成長の大きさを感じさせます。反面、スタッフがきんかんちゃん達に手を取られる分、みかんさん達は遊びが荒っぽくなったり喧嘩っぱやくなったり、食べるときや寝るときにスタッフを指名して甘えるようになっています。毎年のことですが、お兄ちゃんになるための通り道なのでしょうね。

こんなエピソードがありました。2才児(レモングループ)の男児が、お家でお祖母さまにドーナツを作っていただき、翌日、「食べない」と言ったそうです。そこでお母様が「おばあちゃまが悲しむから、おばあちゃまには美味しくないとは言わないでね」と言うと、「おばあちゃま悲しむのはイヤ!」と言い、ドーナツを食べたそうです。彼の優しさが伝わり、胸が熱くなりました。

また、このごろ夜泣きをするとのお話も伺いました。原因は様々で皆同じでないかと思いますが、この時期の夜泣きの原因の一つとして、寒さを避けて暖かくしていると、空気が乾いている分、子ども達は夜中に暑くて喉が渇き、泣き始めることがあります。白湯をぬるめにして、マグカップか哺乳瓶に入れてあげてみてはいかがでしょう。落ち着いて眠りにつくことがよくあります。

園長 原田京子

2022年11月 のんなだより🍂

朝夕が涼しくなっても昼は夏日になったり、次の日は寒くなったりと、極端に温度差があると桜の葉はきれいに色づいて秋を楽しめるのですが、子ども達は体温調節ができず、鼻水を出す子が増えています。

この時期に風邪をひきやすいもう一つの理由は、夜お風呂に入った後など、子どもは大汗をかきます。そのまま寝てしまうと身体が冷え切り、せっかくお風呂に入って温まっても一晩で風邪をひいてしまいます。私は育児の時、風呂上がりにタオルを一枚背中に入れて、子どもが眠ったあとで湿ったタオルを外していました。やり方はいろいろありますが、冬は寒さに気をつけるあまり汗をかかせてしまうことがあるので、気を付けたいですね。

いま成長期(イヤイヤ期)まっただ中の、特に男児たちは毎日何かにつけてじゃれ合い、見ていてヒヤヒヤしますが、楽しそうに重なり合い、1才児が優勢なときもあれば2才児が優勢になるときもあり、下になっては痛がり、上になっては得意げな顔…。まだ加減を知らない1、2才児が思いのままにじゃれ合うのですから、一瞬たりとも目が離せません。「危ないからやめましょう」と止めてしまうのは簡単ですが、じゃれ合いの中でその加減を身体でも気持ちでも身につけて成長するので、大切なことだと思っています。できるだけ否定せず、誰かだけ不利にならないよう、いつでも助けを出せるよう見守るようにしています。まるで兄弟のように汗をかくほどからみ合い、大騒ぎした後は、いつの間にかそれぞれのコーナー(ままごと、教具、アート、絵本など)に別れて集中しています。こんなやんちゃ君たちも、きんかんちゃん(0才)がいると近づいてきて、優しい目で玩具を渡したり、向かい合って絵本を読み聞かせてくれたり、並んでハイハイやずりばいをしたりと、思いやりあふれる行動をしてくれるのです。その様子もまた、本当の兄弟のようです。

<ご支援ありがとうございます>

のんな内外の方々からお心遣いを頂いております。旅先のお土産にその地の特産物や、定期的に果物を送ってくださる方、頂き物のおすそ分けにたくさんのじゃがいもやお野菜、お出汁(無添加の高級品)等、子どもたちの食卓を潤わせてくださっています。アート活動に使う、大量の紙類やタオル類もいただきました。たいへん助かります。感謝申し上げます。

園長 原田京子

2022年10月 のんなだより🍠

まだ夏のような暑さが続いております。あいだに台風が来て、雨が降っても朝夕の気温が下がらず蒸し暑い日々でした。今年は9月中旬まで水遊びを楽しめた珍しい年でした。そんな陽気のせいか、つい先日までセミや蝶が木にとまっているのをみつけ、観察ができました。セミの抜け殻をそっと掴み、大切に大切に扱い、図鑑を開き「同じ!」と得意顔。じいじ(用務員)が生きたセミと蝶を透明な容器に入れて持って来てくれると、交代で真剣に観察し、れもん(2歳児)のお姉さんが「みんな観たからバイバイしよう!」と提案するとみかんさん(1歳児)でさえウンウンと受け入れてじいじに返すのです。

又、散歩に出てダンゴムシを見つけては手に取り、丸くなったり、動き出す様を見て感動し、興奮して知っている単語を駆使して伝えてくれます。

自然観察が大好きで好奇心旺盛で散歩中に花を頂いたり雑草を摘んで来ては花瓶に飾ったり、捕らえた虫達は観察が済んだら自然に戻すことが当たり前になっているのんなの児達です。

就寝前にお子さんからたくさんの本を読むよう求められ、読む程に目が冴え、なかなか寝付いてくれない..とのお困りの相談がありました。

就寝前に1、2冊絵本を読んでもらってから眠りにつくのは毎日のルーティーンになっている児がほとんどかもしれません。親御さんも一日の終わりにお子さんとホッコリしたい時間でもありますよね。でも、絵本が好きな児の中には次々に絵本を読んでもらいたくなって覚醒してしまい眠りにくくなる児がいます。大人でも好きな小説を読み始めると次が知りたくて目が冴えてしまうことがありますよね。

ホッコリ時間を入浴前とか食事前にすると良いかもしれません。

園では午睡前は絵本は読まず、好きな本を枕もとに置いて寝ています。そのかわり、ひとりひとりのニーズに合わせて子守唄を歌ったり、背中をさすったり、胸をトントンしたりして眠りにつきます。

1、2歳児の推奨される睡眠時間は11~14時間と言われています。園でほとんどの児が1時間半~2時間午睡をしますので、お家では10時間くらい睡眠時間がとれると良いですね。

園長 原田京子

2022年9月11日~9月18日 『はみ出す力展』

9月11日(日)~9月18日(日)、うらわ美術館で開催される『はみ出す力展 vol.4~図工・美術の授業展2021~』で、のんな保育園の取り組みが展示されています。

2022年9月 のんなだより🦎

まだ蒸し暑さは続いていますが、季節は確実に変わろうとしています。
ツクツクボウシが鳴き、道に桜の黄色い葉が落ちるようになりました。もうすぐ紅く色づいた葉を散歩に出た児達が拾い、大切に持ち帰るようになるでしょう。

8月に入りプール(水遊び)を毎日楽しもう!と思っている矢先、手足口病、RSなどの感染症が一度に流行ったり、雨が降る日があったりと、水遊びができる日が少なかったように思います。その代わりに午前の遊びがひと段落した児からシャワーを浴びたり、清拭しながら一人一人ゆっくりお話を楽しみ、さっぱりしてから昼食に移るようにしました。

蒸し暑い日にも関わらず食欲が落ちることなく、ほとんどの児達が毎日完食してくれたことは嬉しいことです。 “おうちではあまり食べてくれない”とのお悩みをお聞きするのですが、園では友達がいて座って食べている姿を見ると同じように一緒にやろうとしたり、午前中の活動に集中した後ですので食事の準備をしていると「おなかすいた~」と自ら手を洗いに行きます。席について麦茶を一口飲むと「召し上がれ!(と言って)」とスタッフをせかします。そして「おいしい!おいしいね」と何とも言えない可愛らしい笑顔を見せてくれるのです。

そんな児も、3分の1ほど食べると「ごちそうさま!」と手を合わせるので、「あら、お手伝いしましょうか?と言うと、ニヤッ笑い、口を開けて“食べさせて欲しい”をアピールし、完食するとお皿を指して「ピカピカ!」と自慢します。

入園間もない児は自分からなかなか食べようとしないので1対1で「これを食べるとお顔ピカピカになるんだって。これはお砂糖とお醤油を入れて・・」と作り方を話しながら食べると少しづつ口に入れてくれます。はじめから「これ嫌!」という物は「少しだけ食べてみて、嫌だったら出してもいいよ」と言うと、口にしてにっこり笑って次々に食べてくれる場合や、“やっぱりダメだ”とばかりに出すこともありますが、すまなそうに、“ごめんね”と言わんばかりの表情をするのが愛おしいです。

どうしてもトマトを嫌がるので、調理法を変えてトマトたっぷりラタトゥイユ風スープを作ってみると、なんと「おいしい!」と言っておかわりしてくれたのには驚きでした。さあ、今度は何作ろうか!?と意欲が湧いてきます。

(こんなことがありました)
私達のんなスタッフは一人一人に寄り添い、心を込めて保育できただろうかと日ごろから保育の振り返りをして卒園児を送り出してきています。
その後新しい環境に慣れて自分の個性を出せているかしら?と、ことあるごとに思い出し、写真を見てはスタッフ同士で話し合い、いろいろ思い浮かべていますが、その後の姿を見ることは叶わぬ夢です。しかし先日、昨年と今年度卒園した兄妹のご家族がぶどう狩りに行ってきたとお土産を持って来て下さいました。なんと嬉しい事でしょう!ぶどう狩りに行き、のんな保育園を思い出してくれたこと、照れながらも自らハグさせてくれたこと、夢のような出来事でした。例えのんなのことを思い出しても日々のお忙しい生活の中、わざわざ来て下さるのは大変なことです。最高に幸せで、感謝の気持ちでいっぱいです。

その夜、じっくりその児達の入園当時を思い出してなかなか寝付けませんでした。嬉しい事で興奮して寝付けないことって本当に久し振りでした。

園長 原田京子

2022年8月 のんなだより🍉

6月末週からプール(水遊び)ができるほどの暑さがある割には、梅雨の戻り?のためか雨が多く、思っていたより水遊びができる回数が少なかったように思います。のんなの子たちは散歩にも出られずプールにも入れず、そのエネルギーをごっこ遊びや箱車で競争したり、教具コーナーでの遊びなどにじっくり投じていました。そしていつもより自己主張のぶつかり合いが多く、社会性の勉強ができたように思います。

A君が楽しそうに玩具で遊んでいるとB君はそれが欲しくなり、押しのけて取り上げようとすると「イヤ!」と抵抗されて突き飛ばしてしまいます。飛ばされたA君は泣いてばかりはいられず、小さな体で後ろに回り噛みつくようになります。あるとき私が素早く手を滑り込ませると、A君は「あ、違った、ごめんごめん」とばかりに間違えて噛んだ私の手を撫でたのでした。そこでしっかり者の女児が代わりの玩具をB君に渡し、A君の玩具をA君に渡して頭を撫でると、A君は涙を拭いて笑顔になり、B君は大好きな女児から玩具をもらって「○○ちゃんにこれもらった!」と嬉しそうです。このような事は誰でも経験する大切なことです。大人が介入して「A君のものだから返そうか?」「少し待ってみようか」などと言ってもお互い「イヤだ!」と意思表示します。しつこく諭そうとすると、大人に隠れて行うようになります。こうした経験によって成長していくのですから、大人はなるべく口を出さず、傷つけない程度に見守り、自分の心を和らげながら相手を思いやれるようになるのを待つのがよいように思います。最近はA君とB君、二人の関係が和らいで来ているようです。

娘婿の叔父様(山崎義博さん)が他界し、生前お友達(安田秀士さん)のガン闘病記「生命燦燦」に寄せた追悼文を読む機会を得ました。その一節に、“人生に対峙する姿勢の連続的な接点の随所に、人としての豊かな感性の「芳醇な香り」をゆったりと漂わせている気高い品位の人であった…”とありました。品位にとんと縁のない私は叔父様の文を読み、男の方が友達にこのような追悼文を寄せるということは、安田秀士さんが人としてどんなに魅力的でどんなに立派な仕事、生き方をなさったのだろうと思い、美しいものを見た思いで胸がいっぱいになりました。私自身がガンを経験したこともあり、関心を強く持ったのかもしれません。お友達をこのように美しい文章で表現なさる叔父様の素晴らしさにも感動いたしました。のんなの子たちが、気高い品位の人、と言われるような大人に成長してほしい、と勝手に夢見てしまいました。

園長 原田京子

2022年7月 のんなだより🌞

短い梅雨でした。おかげで外遊びを沢山楽しむことができました。小雨の時に傘を差し、散歩にも出ました。子供たちは上手に歩き、楽しさを身体で表し、”特別なことをしてきた!”という気持ちをにんまり笑って伝えたり、「あめあめ」と口ずさみながら体験を伝えようとする児など様々でした。でも雨が少ない、ということはこれから作物などにそのつけが回ってくるのでしょうか。

のんなの児達はアートが大好き!『止めず、あおらず、教えず』を心掛けて、環境をつくり材料を準備するのですが、参加するしないも自分で決めます。コーナーに行き、水入れを出し、考えながらポスターカラーの色を指定し混ぜ、できていく色をじっと見ながら筆をつけ、描くのではなく筆立てに戻しては又他のブラシを絵具につけ、戻すの繰り返しをした末に画用紙に描き、次に絵具の入った水入れをテーブルいっぱいに流し、手で触れ、感触を試したり、テーブルから零れ落ちる様子を見たりする児。用具を次々に出し、その中からローラーをいじり、眺めたり、その構造に興味を示し、いつまでも触っては床をころころ転がす児。混色した絵具を水道に流しに行き、水道の水でしばらく戯れ、服が濡れ気持ちが悪くなると「おしまい!」と水道の栓を締め、着替えたいとスタッフに訴える児。

絵具をテーブルに流し、手でこねくり回したり、水道の水を流し続けていることに正直心がざわつきますが、やっている児達は真剣に集中するので表情が何とも素敵でかっこ良いのです。身体が冷たくなるほど濡らして、着替える時は”何かやり遂げた”とばかりに自信に満ちています。そんな日はいつもよりも疲れるらしく、食後さっさと床につきすぐに眠ってしまいます。

1・2歳児は普段の遊びも自分で選び、色々と考えだしてユニークな遊びを展開します。欲しい物(紙、ハサミ、クレヨン、etc)、して欲しい事をスタッフに要求してくれるので、私たちも提案をし、子どもから“OK”が出るように伝え、納得してもらうようにしています。がしかし“NO”を出されることもあります。何しろしっかり自分で考えることが身についているのですから…。

暑い暑い日が続いています。プール(水遊び)にはもう3回も入りました。今年はプール遊びが長く続きそうです。今年は特に体温調節機能が未熟な子どもにとって、熱中症になりやすい夏になりそうです。屋外のみならず屋内でも、温度が高いと発汗しにくく、熱がこもり熱中症になりやすいようです。通気性の良い衣服を着せるようにし、こまめに水分補給(遊びの前後、食後、午睡後など)をしてまいります。

園長 原田京子

2022年6月 のんなだより🌂

6月は雨の日が多くて当たり前ですが、5月は爽やかに晴れる日が多いものだと勝手に思い込んでおりましたが、案外からりと晴れる五月晴れの日は少ないものなのですね。さて、今月は雨の日に傘をさしての散歩や水たまりをピシャピシャ歩くなど、少人数園だからこそできる遊びを楽しみたいと思っております。

先月もお伝えしましたが、ことばの発達がめざましく、驚きと感動の毎日です。1才児(みかんさん)に「お母ちゃんがお迎えに来るからオムツ取り替えましょうよ」と言うと、「ヤダーまだ来ないよ~」と返事が返ってきます。また「○○どこにいったかしら?」と探していると、「あそこの下だよ!」と言ったり、「うわ~いっぱいだ。もっと大きいのがほしいよ~」「おいしい!おいしかった」などと使い分けします。1才児ですからときどき宇宙語?も入りますが、伝えようとしていることは分かります。

2才児(レモンさん)は、「きのお~パパのおともだちがきたの!」「○○ちゃん(自分のこと)パパ~、パパ~って泣いちゃったの!」と肩をすくめてみたり、「パパとママと○○ピ(お兄ちゃん)と公園に行ったの。ボールやったの。しゃぼんだまもやったよ~」と伝えてくれます。また、他の子は同じものを絵の中に見つけると、「これとこれといっしょ」「これはちがう」と、類似物を見つけるのが得意です。友達が転ぶと「だいじょぶか~?」と近づいたり、「○○ちゃん、あっち行こうか?」等々、文法も正しく伝えてくれるようになっています。

大人がマスクをして生活する日が2年以上続いていますので、ほとんどののんなの子はスタッフの顔全体を見ることはありません。たまに「よくカミカミして(噛んで)食べようね」とマスクを外して口をパクパクさせると、驚いたような顔で顔を見られることがあります。常にマスクを着けての保育は弊害があるのではと危惧しておりましたが、マスクを着けると“それそれ”というように笑顔になる0才児を見たときは、特にそれを感じました。

先日あるテレビ番組で取り上げていたアメリカの大学の研究で、マスクを着けないで乳幼児に接していた時に比べて、マスクを常に着けるようになってからの言語発達に多少遅れがみられるという結果が出たとのこと。しかしそれを補うのは大人の意識的なコミュニケーションと、子どもの心に寄り添う深い愛情だというようなことを言っていました。これには納得したと同時に安心しました。それはご両親同様、のんなが最も得意とするところですので…。ちなみに、日本の東京大学の調査では、マスク使用前と使用後で子どもの言語発達への影響はほとんどなかったという結果も出ているそうです。ともあれ、早くマスクを外して、子ども達との楽しい会話で笑い転げたいものです。

園長 原田京子

2022年5月 のんなだより🎏

心うきうきと桜の開花を楽しんだ時から1ヶ月。今、新緑の葉がゆれる木の下に咲く色とりどりの花を愛でながら散策しています。小さい小さい花や生まれたばかりの小さなてんとう虫にも心を寄せ、持ち帰り、しばらく楽しんでからかわいそうだから…と草むらに戻す優しさも、スタッフと一緒に経験しています。

子ども達のこの1ヶ月の成長は目ざましく、友達の登園を待ちわび、一人ひとりの登園のたびに互いに喜び合い、一緒に遊んだり、玩具の取り合いで競ったり…しばらくすると、それぞれ別の場所で遊びに没頭したり、ハウスの中で寝転んで休んだり、ときどきスタッフの膝に座りに来たり、自分のしたい事にどんどん挑戦しています。

3月に卒園したあこがれのレモンさん達の後に続けとばかりに同じ遊びに挑戦、大型積み木を並べて飛び降りたり、高く高く積もうと顔を赤くして積み木を持ち上げたり。一人がひも通しに挑むと、興味を持った子が加わり、30分も没頭する姿が見られます。0才児のベビーちゃんを代わる代わるいつくしみ、自分の大切な玩具を手渡したり絵本を読み聞かせたり、食事中に傍らでぐずるベビーちゃんが気になって食事が進まなくなってしまうほど。“のんな”の可愛い天使に皆が心を寄せる様子に感動させられています。卒園したお兄さんお姉さん方に感謝です。

特に言葉がはっきりしてきて、散歩から帰ってきて「楽しかった?」と聞くと「虫いた!電車バイバイした!汽車のった!砂(砂場あそび)やった!」と目を輝かせて口々に伝えてくれます。2才になったばかりの女児が、お家でお父さんに「今日保育園で何したの?何食べたの?」と聞かれ、さらりと「○○した、○○食べた!」と正しく答えたとのこと。普通に会話できることが素晴らしいですね。今、1才児も2才児もはっきり「イヤ!」「イヤだ!」「○○したい!」と言う姿が可愛くてたまらないです。「じゃあ、○○はどう?」と提案すると、「う~ん」と考え込み、「ヤダ!」と言ったり「イイヨ」と言ったり、自分の意見をはっきり言ってくれるのは“かっこいい”ですよね。まだ3才未満ですのに…。

人として生きる土台は、3才頃までに日々の生活(あそび)を通して築かれると言われています。それは周りの大人達に受容され肯定的に接してもらい、応答的連鎖の中で自己を獲得し、他者への信頼感、感情調整力が育ち、粘り強くやり抜く力につながるので、“のんな”のこの1ヶ月の子どもの様子は、まさに保育指針の“乳児保育に関わるねらいと内容”を思い起こさせてくれました。そして大人との対応のみならず、子ども同士の交わりが、どんなに互いを刺激し合い成長するのかを教えてくれました。5月もまた、どんな成長を見せてくれるのかを楽しみにいたしましょう。

園長 原田京子

2022年4月 のんなだより🌸

新年度を迎えるとき、桜が満開なのは嬉しい気持ちです。入園当時はお母様を求め大泣きしていた児が、迎えに来たお母様をじらすように遊び始めたり、食が進まなかった児が好き嫌いなく食べてくれるようになり、食べる量も増えて「ヤミー(おいしい)!」と親指を上げるおちゃめな姿を見せるようになったりと、それぞれの成長を思い出して感慨無量です。また、引越しのため退園する子が、別れ際に担任の胸に顔をうずめ、しばらく泣いていてなかなかご両親の元に行かなかった姿があり、スタッフと共に別れが辛く涙しました。

それも束の間、新しいお友達を迎え、のんなの2022年度が心地よい緊張感をもって始まりました。

コロナ禍のこれから、海の向こうの国で起きている軍事侵攻でたくさんの命が奪われている悲しみの中、生きるのに不安はありますが、のんなでは自分の意志を大切に、自信をもって強く生きる力と、他者を思う優しさを、一人でも多く育める保育園でありたいと思います。

お兄さんと妹さんを預けていただいた保護者の方から、卒園時にお手紙を頂きました。その一部をご紹介させていただきます。

「保護者は子供の様子を見ながら、常に仕掛けを講じ、それに対する子供の反応をしっかり待つことが、子供の自発行動に繋がることは、いまの息子と娘を見て、本当に強く感じます。そして、支援をする際は、あれこれ言わず、小さな口を持って介入することで、子供の自尊心を傷つけることなく、本人も納得する方向へ導くことができること。そうした成果を常に夫婦で振り返り、今後のケアの方法を確認し合うことなのであると理解しております。」

こんなにも“のんな”の保育をご理解していただいたことを、感謝しております。

“のんな”に大切なお子様を託して良かった、と思っていただけるよう、今後もスタッフ一同努力し続けます。ご一緒にお子様の成長を楽しんでまいりましょう。

園長 原田京子

2022年3月 のんなだより🍋

まだ風は冷たくても、陽射しは暖かくなり春めいてまいりました。散歩先でコートを脱ぎ、伸びやかに喜々として広場を走り回る姿を、まぶしく眺めるようになりました。この冬は2回も雪に接し、霜柱を踏みしめたり、手にしてその不思議を観察し、冬の事象を体験することができました。

3月は年度の締め括りの日、振り返ると、この一年のお子様たちの成長は目覚ましく、大人がついていけないほどのスピードです。泣き方の違いで要求していた子が言葉で要求、友達と笑い転げながら上手にコミュニケーションをとる姿もあったり、人見知りでなかなか心を開かなかった1才児さんが0歳児さんを可愛がりお世話をしてくれたり、2才児を真似てできなかった事をマスターして自信を持っている姿など、感慨深いものがあります。今号は、この3月でのんなを巣立つレモンさん(2才児)たちをご紹介しましょう。

(中略)

また、D子さんは言語能力がとても高く、“朝起きて片付いた部屋を見て「パパとママ片づけちゃったの?」と聞くので「はい、あなたが散らかしたものを拾って片づけました」と言うと、「え~!片づけちゃったの?散らばしてどろぼうが入って来ないようにしてたのに~」何という都合のよい考えなんだ!とびっくりしました”(連絡帳より)

3才児とは思えない言い訳、まるで小学生が中に入っているのかと思ってしまいます。

卒園児4名は伸びやかに自分で考えたり、やりたい事は出来る限り経験してもらいました。時として、大人によっては「わがまま!」ととらえる人もいるかも知れませんが、子ども扱いせず、責めたりせずに、同じ人間として気持ちを伝えると、よく理解してくれます。巣立つお子様たちが周りの大人に理解され、伸びやかに育ってくれるよう願います。楽しい日々をありがとう。残りの1ヶ月、大切に大切に過ごしましょうね。

園長 原田京子

2022年2月 のんなだより🧸

なんと1月に雪が積もりました!東京で雪だるまを作れるほど。のんなの子どもたちは、雨とは異なる異物を見てなぜかウキウキ顔。みかんさん(1才児)はコートを着て木に積もった雪に触れたり、握って投げては「チュメタイ(冷たい)!チュメタイ!」と小躍りして大喜び、普段見せない表情でした。レモンさん(2才児)は雪合戦?をしたり、目にきんかん、手に小枝をつけてかわいい雪だるまを作り、0才児、1才児がずっとみていられるよう玄関先に置いてくれたので、溶けて崩れていく様をじっくり観察することができました。休み明け、登園と同時に「ウキ(雪)ない!」と戸外を指さすみかんさん。レモンさんは「また雪降るといいねぇ~」「雪だるま作ろうね!」などと余韻を楽しんでおりました。思いがけず冬の自然に触れ体験できたことは幸せなことでした。2月は一年中で一番寒いと言われますが、水ぬるむ日々がくる前に、もう一度小雪のちらつく日があるかもしれないと期待もしています。

このところ、“おかたづけ”を手伝ってくれる児が増えてきました。のんなでは子どもたちが次々に展開し移っていく遊びを良しとし、その都度玩具の片付けを求めていません。出ている物からいろいろな物を造ったり、ごっこ遊びに発展させて大人が思いもよらない程おもしろい遊びをしている様をたくさん見て、驚かされているからです。使っていない玩具を、他の児の歩行の邪魔にならない程度にスタッフが片付けるようにしています。0~3才までののんな保育園では、片付けよりも遊びに没頭してもらいたいのです。ある日、散歩に出かける前にスタッフが片付けていると、レモンさん(2才児)の女児が絵本やままごと道具をサッサと片付け始め、部屋をぐるりと見渡し、きれいになっている様を見て「よし!」というように散歩の準備を始めたのです。それ以来、遊びに満足し一段落すると、片付けてくれることが増えて来ています。お家でもお母様のお手伝いをするきっかけがあったそうです。あこがれのお姉さんがする片付けを見て、みかんさん(1才児)の女児も真似て楽しそうに片付けてくれたり、食事前に「これナイナイしてからお食事にしようね」と持っていた玩具を預かろうとすると、自ら元に戻しに行くきんかんちゃん(0才児)まで現れました。もちろんレモンさんだって片付けたい気分にならない時だってあります。「一緒にお片づけけしようか」と言っても「いやだ!」と逃げられてしまうこともあります。そんな時は「残念!じゃ私がやっておくね」と言います。2才児が「いやだ!」と言うときは、本当はやった方が良いのは分かっているのです。その時に責められたり叱られたりしなければ、ほとんどの児がその日のうちに他の事で手伝ってくれたり、自分でズボンをはいたり靴をはいたりして「自分でやってるよ!」とアピールして来ます。かわいいですね。よく私たちは、2才児がズボンをはいたり靴をはくのを当たり前のように、「自分でできるでしょ!はいて!」と言ってしまいますが、頑張ってやっているので、ときどき「ママやって!」と甘えてきたり、ぐずる時もあるかと思います。私たちが「いいわよ、○○ちゃんのお手伝いしたいからやりましょうね」と言うと、少し恥じらいながらも嬉しそうに笑顔になります。

子どもが育つにつれ、できることが増えますが、やらねばならないことも増えてきます。一つづつ身につけていく際に“やらなければならないのだからやりなさい!”というよりも、“やりたい!やると気持ちよくなる”というふうに楽しく身に付いたら素敵です。そのために、乳幼児期に“やりたいこと、やりたくないこと”すべてを認め受け入れられて、自分で判断し成長してほしいです。それを見守る大人も、時間に余裕がないときなど叱りたくなりますよね、人間ですから…。たまに出す大人の負の部分を、子ども達は受け止め、上手に自分のものにしてくれているように思います。無菌の社会ではありませんものね。

園長 原田京子

2022年1月 のんなだより🐯

明けましておめでとうございます。
晴天に恵まれ、清々しい年明けでした。コロナが終息に向かうよう願うとともに、お子様方のすこやかな成長を願いました。いつもより少し長いお正月休みに、思いもよらないしぐさや言葉に驚いたり喜んだりが、沢山あったのではないでしょうか。

3月までは2021年度ですが、今年度もたくさんの素敵なエピソードがあります。スタッフが帰り際に子ども達のことを話題にすると、次々とエピソードが出てきて「その表情が可愛かったのよ…」と、それぞれが我が子の自慢話のように立ったまま小一時間くらい笑顔で話し、毎日帰りが遅れてしまうほどです。

きんかんさん(0才児)の10ヶ月児はお食事が大好き、お皿が空になると、怒って皿を押し出し、「ごちそうさま!」と言うとそっくり返って大泣きします。食べ方が上手で、口を大きく開き、よく噛んできれいに食べます。怒っても泣いてもかわいいのです。

16ヶ月児は、お家でお父様がお留守のとき、お母様が体調が悪く救急医を頼んでいる電話を聞くと、自分の栄養ジェルを持って来て開けてもらい、お母様の口に持って行って飲むようにすすめ、次に食事のパックを開けてもらってお母様の口に運んでくれたそうです。緊急時に何をしたらよいか考え行動する児を、頼もしく誇らしく、目をうるうるさせながら伺いました。園でも、泣いているレモンさんの好きな玩具を持ってきてなぐさめようとする子です。

みかんさん(1才児)は、皆で10ヶ月児をかわいがってくれて、それはそれは優しく抱いたりなでたり、友達に取られると大泣きして取り返した玩具でさえ「どうぞ!」と貸してくれます。友達同士でけんかもしますが、みかん語?で何やら話し合い、「ウンウン」とうなずいたり、笑いあって仲良く遊べるようにもなっています。転んだ子に「だいぶ(大丈夫)?」と優しい言葉に、スタッフはキュン!として目を細めてしまいます。

レモンさん(2才児)は、「ねえ~グランマ!おばあちゃんの家に行ったの!」とグランマの前にマットを置いてテーブルクロスを敷き、次々に玩具のごちそうを運び、パーティーをしてくれました。体験をすぐに園で再現してくれるのです。また「○○ちゃん!気持ちはわかるけど他の人の物を欲しがらないの!」とみかんさんを諭したり、「こっちで一緒に作ろう!」と大型積木の仲間に入れてくれたりします。もちろん自分が一人で集中したいときは、誰も寄せ付けず難しいパズルに挑戦し、「できないよ~」と涙しながらも、できるようになるまで一時間近く頑張る姿も見られます。

暮れにこんなことがありました。以前、他園に転園した子のお母様が保育相談にいらっしゃいました。お子様の発達が早く、私は何をしてあげたらよいのか、子どもについていけていない気がしていて、子どもに申し訳ないとさえ思える、何か習い事をさせた方がよいでしょうか、とのこと。確かに何事にも意欲的でものおじしない、頼もしいお子様です。でも8時間前後保育園にいるのですから、幼稚園児よりも長い時間親から離れ、友達と一緒に生活面、精神面では否応なく身につけることが多くあり、鍛えられています。保育園ではカリキュラムがあり、養護の他に教育面(健康、人間関係、環境、言葉、表現、食育、安全等)にそったアプローチがあります。十分、頭も身体も動かしているはずです。この月令児に今あえて習い事をするよりも、自分でやりたいことをできるだけ肯定され、好きなことに集中できる環境が与えられることが大切だと考えます。お母様が何かをしなければならないと思わず、お母様が一緒にしたいこと、例えばご自身が好きな絵本を読んだり、好きな歌を歌ったり、おままごとをしたり、公園に出て追いかけっこ等をして、お母様ご自身が笑顔でいられる楽しいことをしてはいかがでしょう、と申し上げました。お子様は自分と一緒にいるとき、お母様が楽しそうにしていることが一番嬉しいし、良い成長を見せるものだと思っています。習い事は、お子さんが求めているようでしたら、疲れない程度にしてみるのもよいかもしれませんね。

園長 原田京子